カルダモンは、緑色の種が特徴的なスパイスで、日本のスーパーでもよく見かけます。
元々インドが原産地で、北欧のお菓子作りに欠かせないスパイスです。
スウェーデン名物のシナモンロールやフィンランドの伝統的な菓子パン「プッラ」など、北欧のお菓子にはよくカルダモンが加えられています。
今回は、カルダモンの特徴や歴史について紹介したいと思います。
カルダモンの特徴
カルダモンは、インドやスリランカ原産のスパイスの一種です。
カレーによく使われるスパイスで、その名を聞いたことがある人も多いでしょう。
カルダモンといえば、カレーのスパイスというイメージがありますが、北欧の家庭料理にもよく登場します。
北欧では、主にお菓子作りに使われることが多いようです。例えば、スウェーデンのシナモンロールの生地には、よくカルダモンパウダーが練り込まれています。
カルダモンという名前は、ギリシャ語の “kardamomon”に由来しています。
また、「karda」はギリシャ語で心臓を意味する「kardia」から、「amomon」は同じくギリシャ語で生薬を意味する「amoumum」から来ているという説もあります。
ところで、カルダモンはインドで最も生産されているスパイスの大国と思われがちですが、実はそうではありません。
インドが第2位で、中米のグアテマラがカルダモンの最大の生産地となっています。
スパイスの女王とも呼ばれるカルダモン
カルダモンは、未熟な緑の実の状態で収穫されます。
その後、しばらく乾燥させ、店頭で販売されます。カルダモンの緑色の皮の中にある黒い種がスパイスとして使用されます。
カルダモンはショウガ科の植物で、ピリッとしたスパイシーで爽やかな香りが特徴的です。
そのエキゾチックな香りから、カルダモンは「スパイスの女王」と呼ばれています。
また、カルダモンは、サフラン、バニラに次いで世界で3番目に高価なスパイスです。
一説によると、スパイスの女王という名前は、価格が高級であるという意味もあるそうです。
カルダモンの歴史
カルダモンは、スパイスや生薬として使用されていた記録が、紀元前にまでさかのぼります。そのため、世界で最も古いスパイスの一つとして知られています。
原産国であるインドでは、紀元前1000年以上前の先史時代から、アーユルヴェーダで使用される生薬として重宝されてきました。
また、古代エジプトでは、カルダモンは「聖なる香煙」と呼ばれ、寺院で祈りのための香として使われていました。
ヨーロッパに伝わったのは2世紀頃と言われており、ヨーロッパではカルダモンは料理や解毒剤として使用されていました。
スカンジナビアにおいて、最初にカルダモンが持ち込まれたのは、ヴァイキングが戦利品として持ち帰ったことからだと言われています。
ヴァイキングは、8世紀から10世紀にかけて、西ヨーロッパに侵入し、交易を行った海賊です。
彼らがコンスタンティノープル(現在のトルコ・イスタンブール)を襲撃した際に、カルダモンを手に入れ、故郷であるスカンジナビア半島に持ち帰ったのです。
北欧料理におけるカルダモン
カルダモンは、その芳醇な香りを活かして、身近なカレーから肉料理、シチュー、エスニック料理まで、さまざまな料理に使われています。
北欧では、カルダモンは普通の家庭料理、特にお菓子作りによく使われます。その代表的なものが、スウェーデンの国民的お菓子であり、フィーカでコーヒーのお供に欠かせないシナモンロールです。
スウェーデン人はシナモンロールを作るとき、生地にカルダモンパウダーを練り込んで焼きます。
ふんわりと焼き上げ、シナモンパウダーを振りかければ、シナモンロールの出来上がりです。焼き上がった生地に、シナモンの代わりにカルダモンパウダーを振りかけたものは、カルダモンロールと呼ばれます。
シナモンロールは甘い香りがして子どもでも食べやすいのですが、カルダモンロールはピリッとした辛さがあり、大人向けの味わいが特徴です。
カルダモンの意外な使い方
カルダモンは、解毒剤などの生薬として長い歴史がありますが、現在でも単なる料理のスパイスだけでなく、様々な用途で使われています。
北欧では、お酒を飲んだ後、口臭をケアするためにカルダモンを少量口に含む習慣があるそうです。
カルダモンの爽やかな香りが、アルコールの嫌な臭いを和らげてくれるとされています。同様に、スパイスのフェンネルも似たような使われ方をしており、インドカレー屋さんでよく見かけることがあります。
フェンネルにも消臭効果があり、インドでは食後にフェンネルを噛んで口臭を消すという伝統的な習慣があります。
また、日本では、消臭・殺菌効果のあるカテキンを含む緑茶を食後に飲む習慣があります。
飲み会に出かける際は、天然の口臭予防としてカルダモンを試してみるのも良いでしょう。
まとめ
カルダモンはヴァイキングによって北欧にもたらされ、シナモンロールをはじめとする北欧のお菓子や料理には欠かせないスパイスとなりました。
スーパーなどで手軽に購入できますので、ぜひ次回のお料理に取り入れてみてください。