スウェーデンの街並みを見ると、赤色に塗られた建物が数多くありますよね。
この塗料はファールンレッドという名前があり、ダーラナ地方有数の銅鉱山があるファールンの地名に由来するものです。
そこで今回はスウェーデンで世界遺産にも認定された銅の一大産地、ファールンの大銅山地域について解説していきます。
ファールンの大銅山地域とは?

ファールンの大銅山地域とは、スウェーデンのファールン市にある銅鉱山跡地のことです。
ファールン市はスウェーデン中部のダーラナ地方に属する地区で、かつてはスウェーデン屈指の銅の生産地として栄えた過去があります。
ファールンの歴史は古く、13世紀には既に銅の採掘作業が行われていたと言います。
14世紀に入ると鉱山で働く労働者たちの集落が誕生し、徐々にファールン一帯に市街地が形成されていきます。
ファールンの鉱山で採掘される銅の生産量は凄まじく、最盛期の17世紀には世界の銅生産量の2/3を占めるほどでした。
こうしてファールンの鉱山は1992年に廃坑するまでの約700年に渡り、スウェーデンの銅鉱業を支える基盤として活躍したのです。
2001年にはその歴史的価値が認められ、鉱山から旧市街地、周辺の鉱山関連施設を含むファールンの鉱山跡地が、「ファールンの大銅山地域」としてユネスコ世界遺産に登録されました。
ファールンの大銅山地域の見どころ
ファールンの鉱山は1992年の廃坑以降その役目を終え、現在では当時の採掘現場を垣間見られる観光スポットになっています。
鉱夫たちが銅を掘削するために掘った坑道や旧市街地、鉱物を精錬する工場など、鉱山跡地ならではの名所を見学できます。
また、ファールン旧市街地には発掘施設の跡地の他に、ファールンが栄えていた当時の資料などが展示された博物館もあります。
さらにファールンの大銅山地域の敷地内には幅400m、深さ100mという巨大な大穴があります。
この大穴は1687年の発掘作業中に坑道が崩落した際にできたものです。
無謀な採掘計画による事故だと言われています
ファールン産鉱物で作られた塗料、ファールンレッド

ファールンの街があるスウェーデンのダーラナ地方は、雄大な自然に工芸品など、スウェーデンの伝統が今なお息づくエリアとして有名です。
コンパクトな木造家屋に緑色の林道、一面に広がる青い空など、私たちがイメージする「北欧」をそのまま表したような世界となっています。

そしてダーラナ地方に立ち並ぶ家々を見ると、赤く塗られた外観の建物が目立ちます。
ダーラナ地方に限らず、スウェーデン国内には赤色の塗装が施された建物は多く、スウェーデンの街並みの特徴の1つとなっているほど。
実はこの赤色の塗料は「ファールンレッド(Falun Red)」という名称で呼ばれています。
名前からも分かる通り、塗料の原料にはファールンで産出された鉱物が使われています。
塗料には酸化鉄が含まれているのですが、この成分には高い防腐効果があります。
そのためスウェーデンでは古くから建物の耐久性をあげるため、建築塗料としてファールンレッドを利用してきたのです。
まとめ

ファールンの大銅山地域はスウェーデンを代表する銅の産出地であり、国内の銅生産の大半を担うほど繁栄しました。
現在では当時の鉱山の佇まいが残るエリアとして、ユネスコ世界遺産にも登録されています。
