スウェーデン

【シュールストレミング】世界一臭い食べ物と称されるスウェーデンの発酵食品

シュールストレミング
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日本には納豆やくさやなど、匂いが特徴の発酵食品が数多くありますよね。

実は北欧のスウェーデンにもシュールストレミングという、匂いが強烈な缶詰が存在します。

シュールストレミングは日本のテレビ番組にもたびたび取り上げられるので、名前自体はご存じの方も多いのではないでしょうか。

ここではスウェーデンのシュールストレミングに焦点を当て、その歴史や正しい食べ方、匂いの原因などより詳細な知識を紹介していきます。

シュールストレミングとは?

シュールストレミングは、スウェーデン原産の塩漬けニシンの缶詰のことです。

スウェーデンでは長い冬を乗り切るため、塩蔵や乾物など古くから食材の保存技術が発達しました。

そしてシュールストレミングも保存に長けた発酵食品として、スウェーデン北部で誕生した料理です。

缶詰として商品化されたのは19世紀ですが、発酵した塩漬けニシン自体は14世紀から食べられてきました。17世紀にはスウェーデン軍の食糧としても重宝されました。

現在でもスウェーデンを代表する発酵食品の1つとして親しまれ、毎年8月の第3木曜日がシュールストレミングの解禁日となっています。

その一方、シュールストレミングの良くも悪くも最大の特徴なのが、発酵食品特有の強烈な匂いです。

私自身はシュールストレミングは未経験ですが、実際に体験した人によると、魚や卵が腐敗したような腐乱臭があるそうです。

鼻腔を指すような、ツンとした酸味ある刺激臭も特徴とのこと。

実際にシュールストレミング(surströmming)という名称も、スウェーデン語で「酸っぱい」を意味する「シュール(sur)」と、「ニシン」を意味する「ストレミング(strömming)」が合わさった言葉です。

このようにシュールストレミングの悪臭は凄まじく、世界一臭い食べ物とも言われています。

シュールストレミングの匂いの原因

世界一臭い発酵食品のシュールストレミングですが、その悪臭はどのようにして生まれたのでしょうか。

匂いの原因には、シュールストレミングの調理過程にあります。

保存食に使う食材やその方法は国ごとに個性があり、塩蔵や乾燥、燻製など、その国の気候や風土によって様々な形があります。

スウェーデンの場合、寒冷な気候から農業が難しかった反面、古くから漁業が盛んでした。

大量に獲れたニシンの切り身を塩水につけて保存することで、雑菌の繁殖と腐敗を防ぎ、冬の保存食としてきました。

日本の漬物のように固形の塩を使わずに塩水で漬けるのは、スウェーデンは日照時間が短く、海水を蒸発させて作る固形の塩の製成には不向きだったためです。

そしてシュールストレミングの悪臭の原因も、この塩水に漬けるという保存方法にあります。

固形の塩を使った塩蔵の場合、微生物が増殖のために利用する自由水が塩の作用で減少します。微生物の活動が弱まることで、食品の分解過程で発生する匂いも抑えられます。

しかしシュールストレミングのように塩水につける方法の場合、確かに保存性の向上で腐敗は防げます。

ただし微生物の活動はそのままで、缶詰した後も発酵自体はどんどん進んでしまいます。

その結果、微生物の分解によって缶がパンパンに膨れ上がるほど大量に臭気物質が生成され、シュールストレミング独特の悪臭を作り出すのです。

開封時の注意点

シュールストレミングはその猛烈な悪臭から、開封にも細心の注意が必要です。

缶にはニシンの発酵で発生した臭気ガスがパンパンに充満しており、通常の缶詰と同様に開けるのは危険です。

缶切りで穴を開けた瞬間、缶詰の中の液体が匂いと共に飛び散ります。

もし屋内で開けた場合、家具や壁に匂いがこびりつき取れなくなるため、基本的にシュールストレミングは屋内で開けることは禁止されています。

さらに衣服に臭いがついたら、場合によってはその服は処分しなければいけません。

シュールストレミングの正しい開封方法としては、水を張ったバケツの中で開けることが推奨されています。水中ならば、匂いの充満を最小限に抑えられるためです。

衣服に関しては、念のためにカッパを着るか、最悪捨てても良い服を着るのがおすすめとされています。

ちなみにシュールストレミングは、気圧の変化で飛行機の機内で爆発する危険性があるため、基本的に空輸は禁止されています。

もし航空輸送する場合、危険物として厳重に包装されてから輸送されます。そのため、現在世界各地で流通しているシュールストレミングは主に海路で輸入されたものです。

多少値は張りますがシュールストレミングはオンラインショップなどでも販売されており、日本でも購入可能です。

シュールストレミングの食べ方

シュールストレミングは塩漬けニシンということで、その味は非常に塩辛いと言われています。

缶詰にはニシンの切り身が入っており、食べる際はニシンを一口大に切って食べます。

スウェーデンではアクアビットなどアルコール度数の高いお酒で、ニシンを一度洗浄して匂いを落としてから食べることも多いそうです。

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シュールストレミングは薄くカットしたパンの上に乗せて食べるのが一般的です。

さらに塩気の強さを和らげるため、マッシュポテトやバター、チーズなどの付け合わせ食材も用意して食べるそうです。

まとめ

シュールストレミングは、スウェーデンで誕生したニシンの塩漬け缶詰です。

世界屈指の臭気を放つ発酵食品としても有名で、缶詰を開けた瞬間にニシンの強烈な発酵臭が辺りに充満すると言われています。そのため、開封の際は水中で開けるよう推奨されるほどです。

日本の納豆やくさやを遥かに超える臭さのシュールストレミングですが、もし食べる機会があれば、周囲への配慮やルールを守った上で是非試してみましょう。

ABOUT ME
伊東 琢哉
横浜市に暮らしているフリーライターです。普段はスタバでコーヒーを飲みながら執筆活動をしています。シンプルな北欧デザインや雑貨、自然に魅了され、北欧の情報を日々ブログを通して発信しています。