スウェーデン

【スモーガスボード】食べ放題のバイキングの原型となったスウェーデン料理

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

日本のホテルや旅館では、食べ放題のバイキング形式を提供している所も珍しくありません。

テーブルの上に様々な料理が置かれたバイキングは、一度お金を払えば思う存分料理を食べられるとあって大人気ですよね。

日本のこのバイキング料理は、実はスウェーデンのスモーガスボードという伝統料理をモデルとしています。

今回の記事では、スウェーデンで誕生した元祖食べ放題形式の料理である、スモーガスボードについて紹介していきます。

スモーガスボードとは?

スモーガスボード(smörgåsbord)は、食べ放題形式が特徴のスウェーデンの伝統料理です。

日本のバイキング料理と似たスタイルで、テーブルに様々な料理が並び、好きなだけ取って食べることができます。

料理の種類は豊富で、北欧の名物であるサーモンやニシンの酢漬け、肉料理や野菜料理など、多岐にわたります。料理は無くなる度に皿が交換され、温かい料理は温めた皿で提供されます。

食べる順序は厳密に決まっていませんが、前菜、冷菜、温菜、そしてデザートの順番で食べることが一般的です。また、ジャガイモの蒸留酒であるアクアヴィットも一緒に飲まれることが多いです。

アクアヴィット
【アクアビット】じゃがいもで作られた北欧原産の蒸留酒ジンやウォッカのような蒸留酒は、アルコール度数が高く、すっきりとした味わいからファンも多いですね。北欧諸国でもお酒は食事や晩酌、冷えた体を温めたい時など様々な場所で飲まれています。そして「アクアビット」と呼ばれる蒸留酒もその一つで、こちらは北欧諸国原産のお酒となります。今回は北欧諸国で盛んに飲まれている、アクアビットについてその特徴や歴史について紹介します。...

こうしてみると、日本のホテルで出されるバイキング料理とほとんど変わりませんね。

一方でスウェーデンでのスモーガスボードは、レストランだけでなく家庭でも祝い事やパーティーの際に楽しまれています。

スモーガスボードの起源については諸説あるものの、北欧の宴会で参加者が料理を持ち寄るという形式から始まったとされています。

また、スモーガスボードの名前の由来については、「スモーガス(smörgås)」がスウェーデン語で「バターを塗ったパン」、「ボード(bord)」は「テーブル」という意味から来ています。

初期のスモーガスボードは、スライスしたパンの上に食材を乗せてオープンサンドとして食べるスタイルであり、現在のように温冷菜をお皿によそって食べるようになったのは17世紀頃からでした。

スモーガスボードが日本に登場するまで

smorgasbord

スウェーデン発祥の料理であるスモーガスボードは、1939年のニューヨーク万博博覧会で振る舞われたことで世界的に知られるようになりました。

そして日本では、帝国ホテルが1958年に初めてスモーガスボード、つまり食べ放題スタイルのレストランを導入しました。

経緯を説明すると、当時の帝国ホテルでは新規事業としてレストランの立ち上げが計画されていました。

そこで当時の社長である犬丸徹三氏が、デンマークで食べたスモーガスボードを参考に、食べ放題形式のレストランを1958年8月1日にオープンしました。

さらにレストランの名前をつける際に参考にしたのが、1957年に公開されたリチャード・フライシャー監督の映画「THE VIKINGS」です。

バイキングとは中世のヨーロッパで活躍した海賊のことで、北欧を代表するキャラクターとして抜群の知名度を誇ります。

そして北欧といえばバイキングというイメージに則り、レストランの名称も「インペリアルバイキング」となりました。

レストランの名前が広まるにつれ、食べ放題形式の料理のことを「バイキング」と呼ぶようになりました。

また、スウェーデン語の「スモーガスボード(smörgåsbord)」の発音が日本人には難しかったことも、バイキングの呼び名が広まった理由とされています。

その結果、現在では食べ放題=バイキングとして定着しています。

バイキングとビュッフェとの違い

日本では、食べ放題を表す言葉として「バイキング」に加えて、「ビュッフェ」もあります。

バイキングとビュッフェは混同されがちですが、両者には明確な区別があります。

バイキングとは、定額料金で食べ放題ができる食事形式を指します。

一方で、ビュッフェは立食形式またはセルフサービス式の食事形式を表す言葉です。

ビュッフェは元々、フランス語で「飾り棚」を意味する「buffet」に由来します。フランスの簡易食堂では、飾り棚に並べられた料理から好きな品を選んで食べるルールがあったため、このような名前がつけられたのです。

欧米のビュッフェでも、フランス式に合わせて、各々が好きな料理をトレーに乗せ、最後にまとめて会計をするシステムが一般的です。

つまり、「バイキング=食べ放題」ということになりますが、「ビュッフェ≠食べ放題」なので、旅行の際は注意が必要です。

また、海外では「バイキング」という表現は和製英語であり、基本的に通じません。欧米では、食べ放題は「all-you-can-eat」と表記されます。

まとめ

スウェーデンで生まれたスモーガスボードは、テーブルから好きな料理を自由にとって食べる伝統料理のことです。

日本で食べ放題スタイルを表すバイキングという名前は、1958年に帝国ホテルがスモーガスボードを提供する「インペリアルバイキング」というレストランをオープンしたことで、食べ放題=バイキングとして広まりました。

肉に野菜、海鮮まで様々なご馳走が一堂に介した様子は、海賊のヴァイキングたちがテーブルに置かれた食材を食べ尽くす豪快な光景をイメージさせますね。