滝といえば、日本でもお馴染みですが、アイスランドのグトルフォスの滝は規模が桁違いです。
両脇に聳え立つ渓谷の間を、洪水のように流れ落ちるこの滝は、アイスランドの観光でも大きな目玉スポットとなっています。
ここでは、アイスランドにあるグトルフォスの滝について、滝の特徴や見所、そして景観保護に尽力した人たちをご紹介します。
グトルフォスの滝の特徴
グトルフォスの滝は、アイスランド南西部のクヴィータアゥ川の渓谷にある、高低差32mという非常に大規模な滝です。
グトルフォスの滝は、アイスランドのラングヨークトル氷河を水源とするクヴィータアゥ川が流れ落ち、その水量は毎秒140㎥。さらに、滝の形状も独特で、計2段の階段状になっています。
1段目は11m、2段目は21mの落差があり、流れ落ちた水はグトルフォスギューフル峡谷へと続いています。
このように、グトルフォスの滝は氷河を源流とする圧倒的な水量の水が轟音を立てて落ちる、迫力ある光景が魅力です。
その景観から、アイスランドの名所を巡る人気ツアーである「ゴールデンサークル」の一つに数えられているほどです。
ゴールデンサークルには他にも魅力的なスポットがあり、以下の記事で具体的に紹介しているので、興味がある方はこちらもご覧ください。
グトルフォスの滝を見る際のポイント
湧水を水源とする日本の滝と比べて、アイスランドのグトルフォスの滝は水量や迫力が桁違いです。さらに、快晴時にはグトルフォスの滝の水面が太陽光を反射して黄金色に輝く光景も見られます。
実は、「グトルフォス(Gullfoss)」という名称も、アイスランド語で「金」を意味する「gull」と「滝」を意味する「foss」が合体した言葉です。
直訳すると「黄金の滝」で、キラキラと輝く滝の景観にぴったりな名前ですね。
さらに、雪が降り積もる冬のシーズンには、滝の周囲は雪に覆われた一面の銀世界となり、幻想的な景観が現れます。
ただ、一方で冬場は、安全のために滝までの歩道が一部通行止めとなるそうです。
他にも注意点がいくつかあります。まず、大量の水が流れる滝周辺は、水飛沫も常に舞っている状態なので、カメラや服が濡れないよう、防水対策をしっかりとしておきましょう。
また、滝までは簡単な歩道が整備されていますが、足元は濡れているので、スリップにも要注意です。
滝の景観保護に尽力した女性、シグリズル
アイスランドの氷河と独自の地形が作り出したグトルフォスの滝ですが、過去には一度その絶景が失われそうになったことがあります。
それは20世紀、イギリスの企業がグトルフォスの滝を利用した水力発電所を建設する計画を立案しました。
水力発電所を建てることは自然景観を破壊することになりますから、当時の住民は激しく抗議しました。
その反対運動を行った中の一人が、20世紀にグトルフォスの滝を所有していたトーマス・トーマソンの娘であったシグリズル・トーマソンです。
彼女は工事を阻止するために自ら滝壺に飛び込もうとするなど、水力発電所の建設に強い反対の意志を示しました。
こうしてシグリズルは当時のアイスランドの世論を大きく動かし、最終的に水力発電所の建設計画は取りやめとなったのです。
また、シグリズルはグトルフォスの滝のこの一件により、アイスランド初の環境保護活動家としても有名となりました。
グトルフォスの滝を守った彼女の功績は今でも讃えられ、滝壺付近にはシグリズルの名前が刻まれた記念碑も置かれています。
まとめ
アイスランド屈指の規模を誇るグトルフォスの滝は、叩きつけるような強風と水飛沫、そして轟音を鳴らしながら流れ落ちる圧巻の自然スポットです。
毎秒140㎥もの水が約32mの落差を流れ落ちる荒々しさと同時に、「黄金の滝」と称されるほどの美しさも併せ持っています。
自然の荒々しさと神秘を同時に味わえるグトルフォスの滝は、是非とも見ておきたい絶景と言えるでしょう。