ヘルシンキにあるカンピチャペルは、独創的な外観が特徴の礼拝堂です。
木材を使用した外観は、オレンジ色がかった温かな色合いを放ち、アーチ状の曲線美がモニュメントを思わせるような独特の雰囲気を醸し出しています。
内部の空間は、外部の音を遮断し、静寂が広がっており、心を癒してくれる雰囲気があります。
今回は、ヘルシンキにあるカンピチャペルの魅力について紹介します。
カンピチャペルの特徴
カンピチャペルは、フィンランドのヘルシンキ中央駅から徒歩5分ほどの場所にある礼拝堂です。
カンピチャペルが建築されたカンピ地区は、都市開発が進む若者の街としても知られています。
ショッピングセンターやホテルなどが集中し、フィンランド・ヘルシンキ観光の拠点にも最適なエリアです。
2012年にカンピ地区に建設されたカンピチャペルは、一見するとアート作品の1種と見間違うほど個性的な外見をしています。
温かみあるウッディな色調となっており、曲線の形状をしたフォルムは幾重にも重ねられた木材からできています。
カンピチャペルは、喧騒で疲れた心を静寂に包まれた空間で癒してもらうことをコンセプトとしています。
そのため、一般的な教会が行う礼拝やミサなどの宗教的な儀式は行われておらず、静かな空間の中で設置された椅子に座り、目の前の静寂と自分の内面と向き合う場所となっています。
カンピチャペルは、ヘルシンキの職員数名がスタッフとして働いており、利用時間は平日の7時から20時、休日の10時から18時までです。
入場は無料で、誰でも気軽に訪れることができます。
WDCヘルシンキの記念として2012年に建築
カンピチャペルは、2012年にヘルシンキで開催されたワールド・デザイン・キャピタル(WDC)を記念して建設されました。
設計は、アルッキネン・オイヴァ・アルッキテヘディット株式会社が行い、礼拝堂の方はK2SアーキテクツとMikko Summanenが担当したとされています。
ワールド・デザイン・キャピタルは、2年毎に世界各国の都市で開催される、デザインとアートのイベントであり、国際インダストリアルデザイン団体協議会(ICSID)が主催しています。
ヘルシンキでのワールド・デザイン・キャピタルは、2012年2月3日から5日にかけて開催され、開会式はヘルシンキ大聖堂前にある元老院広場で行われました。
イベント期間中は、デザイン展など300近いプロジェクトが各地で開催され、多くの人々が訪れたそうです。
静寂に包まれた心地よい内部空間
カンピチャペル内部は、説教台に小さな十字架、木造の長椅子が並べられたシンプルなインテリアとなっています。一般的な教会にあるパイプオルガンや壁画、優美な装飾は一切ありません。
内部も外観同様、360度木目調が施された空間となっています。木材から漂う心地良い香りが満ちているそうで、自然の中で森林浴をしているかのような気持ちにさせてくれるそうです。
昼間は自然光が差し込むようデザインされており、夜には淡い間接照明が照らす穏やかな雰囲気となっています。また、自分で灯すことができる蝋燭も置かれており、夜には蝋燭の炎がゆらゆらと光る幻想的な風景も見られます。
カンピチャペルはヘルシンキの街中にあるにもかかわらず、内部は外の街の喧騒や騒音を遮断しているため、足音が響くほどの静寂に包まれています。
多くのヘルシンキ市民が訪れ、学生から高齢者、仕事終わりのビジネスパーソンまで老若男女問わず、ただただ静かに流れる時間を楽しんでいるそうです。
ただし、礼拝堂は皆が静かに過ごす場所であるため、私語は基本的に厳禁となっています。
まとめ
木材の温かみが感じられ、装飾がなく素朴な内観が特徴的なカンピチャペルは、日本のお寺に通じる要素があるかもしれません。
日本人にとっても、心地よく感じられる場所だと言われています。