ククサは、おしゃれなインテリアやアウトドア用品、そしてギフトとしても喜ばれる北欧のカップです。
ガラス製のカップにはない、独特な木の風合いや温かみを感じることができるのも魅力の一つです。
ククサは、北欧の少数民族であるサーミ人が作っていた工芸品が始まりとされています。
今回は、サーミ人から伝わった伝統的な木製カップであるククサについて紹介します。
ククサは白樺の木から作られる木製カップ
木目の温かみある色合いと質感が特徴的な、ククサ(kuksa)と呼ばれる木製カップをご存知ですか。
ククサは、北欧一帯など主に寒冷地に生育する白樺の木のコブを原料としています。
樹木にできるコブはバハカとも呼ばれ、そのコブをカップの形に彫ったものがククサなのです。
北欧の北部に位置するラップランド地域に古来から先住民として暮らしている、少数民族サーミ人が使用していたカップが発祥となっています。
フィンランドでは古くから、ククサを贈られた人は幸せになれるという言い伝えがあります。そのため、今でもククサは幸せのアイテムとして、結婚祝いや出産祝いの際のギフトとしてプレゼントする習慣があります。
ギフト用としてはもちろん、ククサはアウトドア用品としても大人気のアイテムです。
木製のククサは、その雰囲気、軽量かつ耐久性に優れる使い勝手の良さから、キャンプなどのアウトドアでもよく使用されています。
例えば、キャンプで焚き火で沸かしたコーヒーをいつもの鉄製のカップではなく、ククサに淹れて飲むのも良さそうです。
かつて北欧の大自然の中で暮らしていたサーミ人と同じように、是非木の風合いを感じられるククサで飲み物を飲んでみましょう。
大自然に溶け込んだかのような気持ちで過ごすことができるはずですよ。
ラップランドの少数民族サーミ人から伝わった
ククサは元々、北欧のさらに北部にあるラップランドと言われる地域に暮らす少数民族、サーミ人が作っていたカップです。
ラップランドとは、スウェーデン・ノルウェー・フィンランド、そしてロシアの計4カ国にまたがる北部一体の地域を指します。
特定の国や州のような国境は明確には定められておらず、一般的には北極圏限界線から北側がラップランド地域とされています。
サーミ人は約5000年前から先住民として、極寒のラップランドでトナカイと共に遊牧生活を行ってきました。現在では、およそ4万人のサーミ人が暮らしています。
大半のサーミ人が私たちと同様に定住生活をしているそうですが、一部のサーミ人は現代でも伝統的な生活様式を守り、遊牧民として生活を営んでいるようです。
サーミ人については、こちらの記事でも紹介しています。
ククサの作り方
ククサを作る際は、白樺の木にできるコブを使用します。
白樺は寒さから樹木を守るため、樹液を分泌して表皮や傷口を覆います。それが肥大化すると、ククサの原料となるコブとなるのです。
コブは頻繁に採取できるというわけではなく、実はかなりの貴重品です。ククサを作成できるコブができるまでは、約30年という長い年月がかかると言われています。
コブは樹木から切り離した後、マイナス2度〜3度の環境下で3〜5ヶ月ほど保存します。
その後、コブは大まかにブロック状に切り分けられ、さらにマイナス20度で24時間凍らせます。
凍らせた後の工程としては、木材を引き締めて強度を上げるために、一度高濃度の塩水で24時間煮沸します。こうすることで、木材の隙間に塩水が入り込んで、丈夫な素材が出来上がります。
そして、約1週間ほど乾燥させた後、手作業で木材を彫っていき最終的にカップの形に整えます。
また、購入したククサを長持ちさせるためには、自宅での手入れが欠かせません。
ククサの表面部分を乾燥や湿気から守るためには、定期的に油分を塗布してコーティングする必要があります。
使用するオイルとして、オリーブオイルやミツロウなど、スーパーで購入できるオイルでも問題ありません。
オイルを少量染み込ませた布で軽く表面を拭き、しばらく乾燥させましょう。ちなみに、伝統的な手入れ方法として、昔はクルミを砕いて抽出したオイルを使用していたそうです。
まとめ
自然の木材を使用したククサは、年月を重ねるほどなんとも言えない味わいある色艶が生まれます。使えば使うほど手に馴染み、愛着も湧いてくるでしょう。
ククサは、手入れをきちんと行えば何年も使うことができるので、ショップで見かけた際は是非購入を検討してみてください。