フィンランドでは毎週木曜日に、エンドウ豆を煮込んだヘルネケイットという豆のスープが食べられています。
今回は、「木曜日のスープ 」と呼ばれるフィンランドのスープ、ヘルネケイットの歴史と詳しい作り方をご紹介します。
「なぜ木曜日に食べられているの?」、「家でも作ってみたい」という人は是非参考にしてみてください。
ヘルネケイットの特徴
「ヘルネケイット(Hernekeitto)」とは、柔らかく煮たエンドウ豆と豚肉などの具材で作るフィンランドの伝統的な豆のスープです。
えんどう豆は柔らかくなるまで煮込まれ、スープというよりポタージュのようなクリーミーな口当たりです。
ヘルネケイットは、寒さで冷えた体を温めるスープとして、寒いフィンランドに住む人々に親しまれている料理です。
フィンランド語で「ヘルネ(Herne)」は「豆」、「ケイット(Keitto)」は「スープ」を意味します。
ちなみにヘルネケイットはフィンランド語の料理名であり、同じ料理をスウェーデンでは「ärtsoppa(アルトソッパ)」と呼んでいます。
木曜日に食べるのは同じですが、スウェーデンでは乾燥した黄色のえんどう豆が使用されています。
木曜日のスープと呼ばれる理由
フィンランドでは、毎週木曜日にヘルネケイットを食べる習慣が何世紀にもわたって続いています。
レストラン、学校給食、軍隊のランチメニューはもちろん、各家庭の食卓にも、木曜日には必ずヘルネケイットが登場します。
そのため、ヘルネケイットは 「木曜日のスープ 」とも呼ばれています。
なぜ「木曜日のスープ」と言われているのでしょうか。
それはヘルネケイットは古くから金曜日の断食を乗り切るための栄養食として、前日の木曜日に食べられていたからです。
カトリックでは、金曜日は断食の日とされていました。
カトリック教徒は金曜日の断食に備え、栄養価の高い豆のスープを木曜日に食べていたのです。
その名残として、現在でも毎週木曜日にヘルネケイットを食べる習慣が残っています。
ヘルネケイットのレシピ
ヘルネケイットのレシピとしては、主に以下の食材が使われます。
- エンドウ豆(乾燥)
- 豚肉
- 玉ねぎ、にんじんなどの野菜類
- マスタードまたはクリーム(お好みで)
まず、豚肉、玉ねぎ、にんじんなどの材料を一口大に切り、えんどう豆と一緒にフライパンで炒めます。
火が通ったら水を加えて煮込み、塩・コショウで味を調えます。
煮込むときに香り付けのハーブとしてローリエを加えると、より豊かな味わいになります。
材料を弱火で1時間ほど煮込み、煮詰まったら適宜水を足します。
豆が指先でつぶせるくらいに柔らかくなったら、マッシャーやミキサーにかけましょう。こうすることで、ポタージュのような濃厚なスープになります。
最後にお好みでマスタードやクリームを加えれば、美しい緑色のヘルネケイトの出来上がりです。
レシピはグリーンピースでも代替可能
ヘルネケイットは、基本的にシチューと同じ要領で作れるので、日本でも簡単に再現できます。
フィンランドでは、ヘルネケイットに乾燥エンドウ豆を使うのが一般的です。
もし、エンドウ豆が手元にない場合は、エンドウ豆の代わりにグリーンピースを使っても、ヘルネケイトの色と味を再現することができますよ。
余談ですが、グリーンピースとエンドウ豆は同じマメ科の植物であることをご存知ですか?
グリーンピースとエンドウ豆の違いは、生育のどの段階で収穫するかということです。
グリーンピースはさやの中の種子がまだ未熟な状態で収穫されます。そして、種子が成熟したものをエンドウ豆と呼びます。
さらにグリーンピースよりも前の成長過程、さやがまだ柔らかい状態で摘んだものが、煮物にもよく使われる「さやえんどう」となります。
まとめ
かつてヘルネケイットは、断食前の食事として木曜日に食べられていました。
現在もその習慣は残っており、フィンランドでは毎週木曜日にヘルネケイットが食べられています。
色がきれいで栄養価も高いヘルネケイットは、簡単に作れるので、興味のある方はぜひ作ってみてください。