フィンランドでは、5月1日のメーデーの日に伝統的に飲まれているシマというドリンクがあります。
シマは生成過程で発酵させる独自のレシピにより、大人のレモネードのようなさっぱりとした喉越しが人気となっています。
そこで今回はフィンランド伝統の飲み物であるシマについて、詳しい特徴やその歴史について紹介していきます。
シマの特徴
5月1日は世界的にはメーデーと呼ばれ、労働者の権利向上を求める運動が行われます。
北欧フィンランドでも、毎年5月1日はヴァップ(Vappu)という祝日に定められており、春の訪れを家族や友人と共に祝う記念日としての側面を持っています。
ヴァップの日には、フィンランド各地でパーティが開かれ、家族や友人と一緒に楽しまれます。
この日に欠かせない飲み物が、炭酸飲料の「シマ(Sima)」です。シマは水とレモン、砂糖、ドライイーストなどを原材料とする炭酸飲料であり、レモンの爽やかな酸味と炭酸によるシャープな口当たりが特徴です。
シマは見た目こそレモネードに似ていますが、レシピの過程でドライイーストによる発酵で微量のアルコールと炭酸ガスが発生するため、微量のアルコール分を含んだ発酵ドリンクとなります。
フィンランドでは、スーパーでノンアルコールのシマも販売されていますが、子供に与える場合は注意が必要です。
フィンランド版メーデーの日、ヴァップについて
5月1日は、世界的には労働者の日(メーデー)ですが、フィンランドではヴァップという祝日となります。
ヴァップの日は、労働者の権利運動ではなく、春の訪れを祝うため、市民が食事やお酒を持ち寄って盛り上がる1日となっています。
前日の4月30日の夕方頃になると、フィンランドの街では仲間とパーティを開く人が徐々に増え、夜通し食事と会話を楽しむ人も少なくありません。ヴァップ当日には、フィンランド各地のお店で、ヴァップの日用の飲食物であるシマなどが販売されます。
また、ヴァップでは老若男女問わず、フィンランドで高校卒業時に受け取る白い帽子をかぶって参加するのが伝統となっています。
シマのレシピ
シマのレシピは非常にシンプルで、日本の自宅でも簡単に作ることができます。
必要な材料は、水、レモン、砂糖、ドライイースト、そして発酵促進用のレーズンです。
砂糖には、色付けのためにブラウンシュガーや三温糖を使用しても構いません。
まず、沸騰した水に砂糖とレモンを入れ、水温が40度くらいまで下がったらドライイーストを入れて一晩寝かせます。
翌日、レモンを取り出して別の容器に移し、冷蔵庫で数日間保存します。
発酵中にガスが発生するため、保存する際には容器の口を少し開けておくことが重要です。
また、ブドウをアルコール発酵させてワインを作るのと同じように、レーズンを数粒入れて発酵を促進させます。
保存期間は約1週間程度を目安としてください。
シマがフィンランドに広まるまでの歴史
フィンランドでシマが飲まれるようになった経緯について説明します。
シマは16世紀のドイツやラトビアから伝わった蜂蜜酒が起源とされています。16世紀にフィンランドに輸入された後、17世紀頃になると初夏の飲み物として定着しました。
しかし、当時のシマには蜂蜜やレモンなど高価な原材料が使われていたため、貴族など一部の特権階級用の飲み物でした。
19世紀になると、蜂蜜の代わりに砂糖が使われるようになったことで、安価な飲み物として労働者などの一般市民でも気軽に飲めるようになりました。
こうしてシマは労働者のための飲み物として定着し、現在ではフィンランドで春の季節に飲まれる、さっぱりとした口当たりの定番ドリンクとなっています。
まとめ
シマは毎年5月1日のヴァップの日にフィンランドで飲まれる、レモネードにも似た炭酸ドリンクです。
ドライイーストを加えて数日間発酵させる製法が特徴であり、炭酸と微量のアルコール分を含むシマ特有の味わいを作り出しています。