カステレット要塞は、北欧の港町として栄えたデンマークのコペンハーゲンを守るために17世紀に建てられたスポットです。
現在は軍事施設として利用される一方で、敷地内の公園は市民の憩いの場として無料開放されています。
この記事では、コペンハーゲンのランドマークであるカステレット要塞について、特徴や歴史を解説していきます。
星形の輪郭を持つカステレット要塞
北欧デンマークの首都コペンハーゲンの中心に位置するのが、今回ご紹介するカステレット要塞です。
コペンハーゲンは船が行き交う港町の側面を持ち、海をこえて侵入してくる外敵を防ぐための戦略的な立地条件を備えていました。
1662年に建設されたカステレット要塞は、外海の入り口にある首都コペンハーゲンを防衛するために建てられました。「カステレット(Kastellet)」という名前も、デンマーク語で「要塞」を意味します。
カステレット要塞の全景を上から見ると、全周が堀に囲まれ、星形の輪郭を描いています。四方に壁を作ることで死角を減らし、より広範囲を見渡すために、星型の形状になったという説もあります。
コペンハーゲン港防衛のために建設
コペンハーゲンは古くから、海上交通の要衝として「北欧の玄関口」「商人の港」と呼ばれてきました。
多くの船舶が行き交うコペンハーゲン港は、同時に、外国との交易や外敵から首都を防衛するための重要な拠点でもありました。
こうした地理的・軍事的な理由から、コペンハーゲン港の出入り口に、外洋に面したカステレット要塞を設けて防衛にあたらせます。
カステレット要塞の建築計画は、デンマーク国王クリスチャン4世によって1626年に提案されました。
クリスチャン4世の死後、息子のフレデリック3世が建設計画を引き継ぎ、オランダ人建築家ヘンリック・ルーゼによって設計されたカステレット要塞は、1662年に完成しました。
カステレット要塞は、デンマーク王フレデリック3世の名をとって「フレデリクスハウン要塞」とも呼ばれています。
要塞としての役割を終えた現在でも、大砲など一部の設備はそのまま残されています。
現在は公園として一般開放
かつてはコペンハーゲンの防衛拠点として機能していたカステレット要塞ですが、現在は要塞の敷地内にある建物は、駐屯地などデンマーク軍の施設として利用されています。
一方、軍事関連以外の敷地は、自然溢れる公園として一般開放されており、誰でも無料で入場することができます。
カステレット要塞の公園は、コペンハーゲン市民の憩いの場として親しまれています。
敷地内のチャーチル公園
カステレット要塞は公園として一般公開されており、敷地内にある公園は「チャーチル公園」と呼ばれています。
チャーチルと聞いて、ピンときた人も多いと思います。
チャーチル公園の由来となった人物は、第二次世界大戦でイギリスを指揮した元首相ウィンストン・チャーチルです。
なぜ、デンマークのカステレット要塞にある公園に、外国であるイギリスの元首相の名前が使われているのでしょうか。
デンマークは第二次世界大戦中、ナチス・ドイツに占領されていました。その後イギリス軍によって占領から解放されたという経緯があります。
ナチスの支配から救い出してくれたイギリスへの感謝を込めて、当時のイギリスの首相の名前をとってチャーチル公園と名付けられました。
まとめ
カステレット要塞は、1662年にデンマークのコペンハーゲンを外国の攻撃から守るために建設された要塞です。
現在でも一部はデンマーク軍の施設として利用され、要塞の面影を残していますが、公園としても無料開放されています。
星型の小道を散策する人々の姿が見られ、穏やかで静かな風景が広がるエリアとして親しまれています。