【ダンネブロ】世界最古の歴史を持つ、デンマークの国旗
デンマークの国旗は、赤い背景に白い十字が描かれたデザインで、ダンネブロとも呼ばれています。
このデザインは、世界の国旗の中でも非常に古く、北欧諸国の国旗に大きな影響を与えるなど、歴史的に重要な意義を持っています。
そこで今回は、デンマーク国旗の特徴や歴史について詳しく紹介していきます。
デンマークの国旗について
デンマークは、北欧の国の一つであり、ヨーロッパ大陸北西部のユトランド半島に位置しています。
デンマークは北欧諸国の中でも歴史が古く、10世紀から続くデンマーク王室を有する欧州最古の君主制国家として知られています。また、世界的に見ても、日本の皇室に次いで第2位の長さを誇ります。
そしてデンマーク王室に匹敵する歴史を持つのが、1219年に誕生したデンマーク国旗です。
デンマーク国旗は伝説が元となっており信憑性に関しては諸説あるものの、世界最古の国旗と言われています。第2位はオーストリア国旗(1230年制定)となっています。
デンマーク国旗は別名ダンネブロとも呼ばれています。ダンネブロとはデンマーク語で「デンマーク人(danne)の布(brog)」を意味する言葉です。
デザインとしては、赤色の布地に白色の十字模様が描かれています。国旗の赤色は祖国への愛、白色の十字はキリスト教の国であることを表しています。
さらに国旗をよく見ると、十字の縦横の交点が左側に偏っているのがわかります。
これには意図があって、国旗を燕尾型(旗尾側が三角形でカットされた状態)にした際、十字の交点がちょうど中央に来るよう調節したためです。
デンマーク政府や海軍が国旗を利用する場合、通常の長方形型ではなく、国旗の旗尾側(旗竿に対して反対側)に三角形の切れ込みを入れた状態で使用します。
つまり、デンマークの国旗は軍旗として使うことを前提に、初めからあえて十字の位置をずらしているのです。
北欧諸国の国旗のベースとなったデザイン
北欧諸国の国旗を比較すると、共通して十字型の模様が使われていることに気が付くでしょう。
この十字模様は、スカンジナヴィア十字と呼ばれ、世界的にも有名です。スカンジナヴィア十字は、デンマーク国旗がベースとなっており、他の北欧諸国の国旗にも大きな影響を与えました。
スカンジナヴィア十字は、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、アイスランドの北欧5カ国の国旗の他、デンマーク領のフェロー諸島、フィンランド領のオーランド諸島、そして両イギリス領のオークニー諸島やシェトランド諸島の自治領の国旗にも使用されています。
デンマーク国旗にまつわる歴史
デンマーク国旗の歴史は、1219年6月15日にデンマーク王ヴァルデマー二世がエストニア軍と争ったリュンダニの戦いと呼ばれる伝説が起源とされています。
当時のエストニアは、デンマーク側から見れば異教徒たちが住む国でした。そのためデンマーク王ヴァルデマー2世は聖戦の名の下に、エストニアに北方十字軍を派遣します。
リュンダニの戦いでは、デンマーク軍が大きな苦戦を強いられます。しかし、戦況が厳しい最中に空から降ってきた旗がダンネブロでした。
ダンネブロを手にしたデンマーク軍は猛攻をしかけ、遂にエストニア軍に勝利しました。
この伝説が現在のデンマーク国旗の始まりと言われています。ただ、史実としての信憑性は乏しいという指摘もあり、ローマ教皇が十字軍に授けた旗に由来するという説もあります。
一方、正史の記録としてダンネブロが初めて登場するのは14世紀のことです。
19世紀半ばまでは、ダンネブロはデンマーク王室と海軍のシンボルとして使われていました。1854年にデンマークの国旗として正式に制定され、以降は一般のデンマーク国民の間でも使用が認められました。
現在でもダンネブロは、デンマークの祝日や各種イベントに欠かせない、国民的シンボルマークとなっています。
まとめ
ダンネブロと呼ばれるデンマーク国旗は、祖国の愛を表す赤色の生地に白い十字を記したデザインが特徴です。
こちらのダンネブロは世界最古の国旗であり、デンマークに伝わる伝説では1219年に誕生したと言われています。
さらに十字型のデザインはスカンジナヴィア十字と言われ、スウェーデンやフィンランドなど他の北欧諸国の国旗にも同様の模様が採用されています。