北はデンマーク、ドイツを経由して南のオランダまで3カ国をまたいで広がるワッデン海という湿地帯があります。
豊かな自然環境や生態系を有し、ラムサール条約や世界遺産にも登録されている有名なスポットなのです。
今回はワッデン海に焦点を当て、その特徴や観光時の楽しみ方、管理はどの国が担当しているのかについて回答していきます。
ワッデン海は世界最大の干潟
ヨーロッパ北西部には、デンマーク、オランダ、ドイツの3カ国にまたがる世界最大の湿原地帯であるワッデン海が広がっています。
この湿原は、オランダのデン・ヘンデルからドイツの海域を経由して、北のデンマークのエスビャウ湾まで約500キロメートルにわたり、面積は約11,500平方キロメートルにも及びます。
ワッデン海は、急激な潮の流れの繰り返しによって、数百万年かけて形成されました。潮が満ち引きする周期は6時間であり、干潮時には海底に降りて、沖の方まで散策することができます。
世界的にも知られたこの広大な自然景観は、ユネスコの世界遺産に登録されています。
オランダとドイツの海岸線が2009年に、デンマークの海域が2014年に追加登録されました。
デンマーク・ドイツ・オランダが共同管理
ワッデン海はデンマーク・オランダ・ドイツの3つの国をまたぐ、広大な規模が特徴だと説明しました。 では、ワッデン海の保全や所有権はいったいどうなるのでしょうか。
実はワッデン海はデンマーク、オランダ、ドイツの3カ国により共同で管理されています。
ワッデン海の共同管理に経緯として、まず1982年にワッデン海保全の合意をまとめた「ワッデン海の保護に関する共同宣言」が制定されます。
そして15年後の1997年には、「三カ国ワッデン海計画」という、3カ国の共同運営によりワッデン海を保全していくことを定めた条約が採択されました。
2000種類以上の生物が生息する豊かな湿地
ワッデン海は多様な生物が生息することで知られ、観光時の魅力の一つでもあります。
豊かな干潟は多くの生物たちにとって最適な環境を提供し、2000種以上の野生動物がワッデン海に生息しているとされています。
その中でも有名な動物のひとつに、ゼニガタアザラシがいます。アザラシウォッチングというイベントでは、ゆっくりとアザラシを観察することができます。
また、春と秋には、ムクドリなど数千万羽もの渡り鳥が飛来し、様々な種類の鳥たちがワッデン海を訪れます。
このような豊かな生態系を守るため、ワッデン海は1987年5月にラムサール条約に登録されました。この国際条約は、水鳥を含む湿地帯及びその生態系の保全を目的としています。
まとめ
これまで紹介してきたように、デンマーク・ドイツ、そしてオランダの三カ国にまたがる湿原地帯であるワッデン海は、世界最大規模の湿地帯です。
干潟に覆われた広大な土地は、見渡す限りに広がる美しい景色を提供しています。
また、ワッデン海は2000種類を超える多様な生物が生息する生態系を有し、多くの野生動物が見られることでも知られています。