フィンランド

【タンペレ大聖堂】フィンランドの工業都市タンペレにある神秘の教会

タンペレ大聖堂
伊東 春乃
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フィンランドには、ヘルシンキに次ぐ第二の都市として知られるタンペレがあります。

タンペレは20世紀以降、急速に発展してきたフィンランド屈指の工業都市です。

そして、今回取り上げるのは、タンペレの西側に佇む石造りの教会、タンペレ大聖堂です。

ここでは、タンペレ大聖堂の見所や建築までの経緯について詳しく解説していきます。

タンペレの歴史や名所を知りたい、旅行を考えているという方はぜひ読んでみてください。

タンペレ大聖堂の特徴

タンペレ大聖堂は、フィンランドでヘルシンキに次いで2番目の規模を誇る都市、タンペレにある教会です。

建築されたのは1902年から1907年の間であり、中世の建築物が多い北欧においては比較的新しい教会となっています。

設計を担当したのは、ラールス・ソングという人物です。建築の際には19世紀から20世紀にかけて流行したフィンランド・ロマン主義建築という建築様式が採用されました。

建築当初は、今のようにタンペレ大聖堂と呼ばれておらず、「聖ヨハネ教会」という名前でした。

タンペレ大聖堂の外観を見ると、オレンジ色に近い赤褐色の屋根に石造りの壁が目を引きます。

大聖堂ということで派手な外観はほとんどなく、荘厳で質素な佇まいとなっています。

また、タンペレ大聖堂の前は緑の芝生と花々が咲く小さな広場となっており、大聖堂の落ち着いた雰囲気ともマッチしています。

その他、タンペレ大聖堂の周囲には、建物をぐるりと囲むように石造りの塀も建てられています。

壁には計6つの入り口があるので、入場の際はその中のいずれかを通って中に入ることができます。

独特な世界観が広がる大聖堂内部

タンペレ大聖堂の内部は、素朴な外観と異なり、蛇をモチーフとした装飾や天井のフレスコ画など、独特なタッチの絵画が数多く展示された非日常の雰囲気に包まれています。

有名な作品としては、「死の庭園」と「傷ついた天使」があります。

「死の庭園」というのは、芸術家のヒューゴ・シンベリの作品の1つで、花を育てる骸骨が描かれた、美しさと同時にどこか死も連想させるような作画となっています。

大聖堂があるタンペレとはどんな街?

日本では、フィンランドといえば首都であるヘルシンキのイメージが強く、タンペレ大聖堂が置かれたタンペレという街の知名度はそう高くないと思います。

しかし、実際にはタンペレは北欧屈指の工業都市であり、ヨーロッパの方ではビジネスパーソンを中心に注目されている都市でもあるのです。

タンペレが誕生したのは18世紀頃と言われており、当時フィンランドを統治していたスウェーデンの国王グスタフ3世によって創設されました。

20世紀になると、タンペレは紡績業や金属産業を主要産業として急速に発展することとなります。

また、工場やオフィスビルといった近代的な街並みと同時に、タンペレはフィンランドの湖水地方と呼ばれるエリアにあり、周辺には美しい湖や自然が数多くあるのも特徴です。

タンペレは、北部のネシ湖と南部のピュハ湖という2つの湖に挟まれた地理にあります。

そして、2つの湖の間には約18mの高低差があり、タンペレはこの湖の落差を活用して水力発電を発展させました。

こうして、タンペレはその地理的特徴を活かした水力発電によって、フィンランド第二の工業都市という今日の地位を確立したのです。

タンペレ大聖堂建築までの経緯

先述したように、タンペレ大聖堂が建てられた20世紀初頭のタンペレは、工業都市として大きく拡大・発展の最中にありました。

都市の発展に伴って、都市部の人口も大きく増加することとなりますが、ここで問題が発生します。

それは人が急速に増えたことで、日曜日の礼拝時になると、教会に多くの人が押し寄せて大混雑が起きてしまうことです。

加えて、タンペレの街の東側にはフィンレイソン工場という、当時北欧で最大規模の施設があったことも混雑に拍車をかけました。

そして、当時の教会の混在を解消するための解決策として、従来の教会に加えて新しく教会を建築することで、礼拝に訪れる信者を分散させようとしました。

こうして誕生したのが、フィンレイソン工場のエリアと反対側となる街の西側に建築されたタンペレ大聖堂なのです。

まとめ

ラールス・ソング氏が手がけたタンペレ大聖堂は、タンペレの著しい工業化に合わせて20世紀に建てられた建築物です。

中世ヨーロッパを思わせる石造りの外観に加え、有名な芸術家の作品も展示された神秘的な内部も印象的です。

そのため、タンペレ大聖堂は礼拝から観光まで様々な目的で多数の人が訪れる、タンペレを代表するスポットとなっています。

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