ヘルシンキ現代美術館は、フィンランドの中心地ヘルシンキにある美術館で、モダンなデザインが目を引きます。
この美術館は現代アート作品を中心に展示し、キアズマという名称でも親しまれています。
今回は、フィンランドで現代アートを体験することができるヘルシンキ現代美術館について紹介したいと思います。
ヘルシンキ現代美術館とは?
ヘルシンキ現代美術館は、北欧フィンランドの首都ヘルシンキ市内の大通り、マンネリヘイム通りに位置し、毎年多くの市民や観光客が訪れます。
1998年にはアメリカ人建築家スティーブン・ホール氏によって建築され、現代アートを専門に扱う美術館として、作品数8000点にものぼるコレクションが展示されています。
また、館内にはカフェも設置され、ヘルシンキ市民の憩いの場としても愛されています。
そしてこの美術館は、通称キアズマとも呼ばれています。
「キアズマ」という言葉はあまり聞き慣れないものですが、元々ギリシャ語で「交差点」を意味する生物学の用語です。
キアズマは、両目の視神経が交差する部分を指します。
現代アートの普及のみならず、様々な芸術や文化、市民が交流する「交差点」のような存在になるというテーマから、美術館にキアズマと名付けたのです。
アメリカ人建築家スティーブン・ホール氏が設計
スティーブン・ホール氏は、ニューヨーク州を拠点として建築デザインを手掛ける建築家で、ヘルシンキ現代美術館は彼の代表作とされています。
ホール氏は、2001年のアメリカのタイム誌で最高の建築家と評されるほどの著名な建築家です。
ヘルシンキ現代美術館以外にも、マサチューセッツ工科大学の学生寮など、国内外で活躍しています。
ヘルシンキ現代美術館が完成するまで
ヘルシンキ現代美術館が誕生するきっかけとして、1992年にヘルシンキで建築デザインのコンペが開催されたことが挙げられます。
コンペには、フィンランドや北欧諸国出身の建築家をはじめ、世界中から516点の応募作品が集まりました。
その結果、厳しい競争を勝ち抜いて受賞したのが、アメリカ出身のスティーブン・ホール氏でした。
彼は1996年に工事に着手し、2年後の1998年にヘルシンキ現代美術館を完成させました。
この美しい建築デザインは、フィンランドでも認められ、同年の1998年にはアルヴァ・アアルトメダル(Alvar Aalto Medal)を受賞しています。
逆D字型の曲線的な外観
スティーブン・ホール氏がデザインしたヘルシンキ現代美術館は、美術館の外観自体が現代アートに見えるほど独特な外見をしています。
建物を正面から見ると、アルファベットのDを反転させたような細長く湾曲したデザインとなります。
外観をカーブを描くよう湾曲させたのは、太陽の軌道をイメージしたそうです。
白を多用したシンプルな内部空間
カーブを描く建物の構造上、美術館内もスロープや螺旋階段など曲線的な通路が多くなっています。
また、吹き抜けも多用し、上下の空間を最大限活用しています。
一方、展示されている現代アート作品に対して、内装は派手な色使いは控えめで、白色を基調としたシンプルで洗練された雰囲気となっています。
さらに、設計者のホール氏は自然光を取り入れた建築デザインを得意としており、キアズマにも日光が差し込む天窓が設計されています。
眩しいほど白い壁を日光が照らす空間は、上品さと心地よさを感じさせますね。
まとめ
フィンランドの首都ヘルシンキにある現代アートを専門とする美術館が、ヘルシンキ現代美術館です。1998年にアメリカ出身の建築家スティーブン・ホール氏によって建てられました。
美術館名の「キアズマ」はギリシャ語で「交差点」を表す言葉であり、多数の芸術作品や市民が行き交う、ヘルシンキ有数のアートスポットとなっています。