【ブルーラグーン】アイスランドにある世界最大の野外温泉
アイスランドは、日本同様に火山活動が活発な国として知られています。
そして火山活動が生んだ恩恵と言えるのが、温泉です。地熱により温められた地下水が湧き出す温泉は、日本各地にありますが、実はアイスランドにも多くの温泉施設があります。
特に世界最大規模の温泉として有名なのが、ブルーラグーンという施設です。
この記事では、アイスランドのブルーラグーンとは一体どんな温泉なのか、詳しく紹介していきます。
世界最大の露天風呂、ブルーラグーン
アイスランドは氷の国というイメージがある一方、日本と同じく有数の火山大国という側面もあります。
地下火山の活動により、アイスランドの各地では蒸気や温水が湧き出しており、同時に温泉施設も数多くオープンしています。
そして今回取り上げる「ブルーラグーン」は、アイスランドでも特に人気の温泉です。
ブルーラグーンは、アイスランドの首都レイキャビクから南西に約40kmの場所にあります。
ブルーラグーンの魅力として、第一に温泉とは思えないほど美しい色が挙げられます。シリカや硫黄による乳白色と青色が合わさった、優しい色合いの水質となっています。
ブルーラグーンという名前からもわかるように、透き通った青色の温泉水が一面に広がる美しい温泉です。
温泉の面積は約5000㎡で、最も深い場所で1.4mの水深があります。
水温は37℃~40℃とややぬるめで、長時間入っていても快適な温度です。
温泉の外周は溶岩でできており、火山大国アイスランドらしい特徴を見ることができます。
また、ブルーラグーンは屋外温泉としては世界最大規模であり、アイスランドでも屈指の知名度を誇る観光地です。
多くの人がレジャーや疲れを癒すために訪れており、国内外から年間を通して多くの人が訪れる人気のスポットです。
発電所から出た温水を再利用した人工温泉
ブルーラグーンの温水は、日本のように地下から湧いた天然温泉ではありません。
ブルーラグーンで使われる水は、隣接するスヴァンスエインギ地熱発電所という場所で発電用に使われた排水を再利用したもので、実は人工的に作られた温泉なのです。
ただ、地下水と海水を地熱で温めた水が使われていると言っても、位置的に海から近いこともあり、ブルーラグーンの温水には多量のミネラル分が含まれています。
ブルーラグーンの温泉には高い美容効果があるだけでなく、温泉内で採れる白い泥状のシリカを利用した泥パックも非常に好評です。
温泉にあるシリカの白い泥は全て自由に使うことができます。
ちなみに、ブルーラグーンの泥と同じ成分のコスメ商品も施設内で販売されているそうです。
ブルーラグーンの施設案内
ブルーラグーンは、露天風呂だけでなくカフェやレストラン、ショップも併設された、総合リラクゼーション施設のような場所です。
まず、ブルーラグーンは事前予約制で、インターネットで予約する必要があります。入場料は日本円で6000円~7000円と、温泉施設にしてはやや高めです。
受付後は磁気チップが埋め込まれたリストバンドを受け取り、施設内ではこのリストバンドで支払いを行います。そのため、現金を持ち歩く必要がありません。
買い物の際はリストバンドに購入履歴が保存され、最終的に施設の退出の際に全額を精算するシステムとなります。
温泉の入浴前には、シャワーで必ず体を洗うことがルールとなっています。
また、入浴には水着の着用が義務付けられています。水着は基本的に持参が必要ですが、忘れてしまっても施設でレンタルが可能です。
そしていよいよ、ブルーラグーンの温泉に入ることができます。
ブルーラグーンはどちらかといえば露天風呂よりも温水プールに近く、温泉を泳いで楽しむことができます。 5000㎡の敷地内にはサウナや洞窟、お酒が飲めるバーまで用意されています。
ブルーラグーン内のバーは、半身をお湯に浸かりながら注文する独自のスタイルが特徴です。 温泉に浸かりながらお酒を飲むというのは、日本ではなかなか見られない光景ですね。
温泉で体を温めた後はマッサージを受けたり、施設併設のレストランで食事も可能です。
このようにブルーラグーンは温泉以外にも多種多様な設備があり、一日中滞在しても飽きないほどの充実度となります。
ブルーラグーン誕生の経緯
ここではブルーラグーンがいかにして誕生したのか、その歴史を見てみましょう。
ブルーラグーンは今では大人気の温泉施設ですが、そもそもはスヴァンスエインギ地熱発電所の排水が偶然溜まってできた池がその原型でした。
火山大国であるアイスランドでは国内の至る所に地熱を利用した発電所が建っており、スヴァンスエインギ地熱発電所もその中の一施設として1976年に建設されます。
スヴァンスエインギ地熱発電所は、地下2000mの地点から湧き出る蒸気でタービンを回し発電を行います。
さらに蒸気の熱によって別に用意した真水を温め、各家庭に暖房用の熱水として送水もしていました。
そして地下から沸いた蒸気は冷却され温水となり、そのまま外に排水します。
本来なら排水は地面が吸収するはずでしたが、スヴァンスエインギ地熱発電所で発生した温水は多量のシリカ成分を含んでいました。
シリカは冷えると固まる性質を持つため、シリカを含んだ温水は周囲の地面に染み込む前に硬質化し、小さな池を作ります。
そしてブルーラグーン誕生の転機となったのが1981年、皮膚病の一種である疥癬(かいせん)を患ったヴァールル・マイゲイルソンという人物が排水で発生した池に入浴します。
周囲の人々は、どんな成分が含まれているかわからない池に入ることを止めたそうですが、ヴァールルが入浴すると皮膚病が見事に改善しました。
その後、皮膚病に効く温水の効能が一般の人にも周知されるようになります。
こうして発電所からの排水で誕生した小さな池は、1987年に「ブルーラグーン」という名称の温泉施設としてオープンしたのです。
まとめ
ブルーラグーンはアイスランドにある世界最大規模の野外温泉で、「青い潟湖」という名前通り、青みがかった乳白色の水質も魅力的です。
また、ブルーラグーンは、発電所から出た排水を再利用したエコな人工温泉でもあります。
さらに、シリカの泥パックやマッサージ、カフェやバーも併設された複合施設の側面もあり、一日中でも楽しめます。
ブルーラグーンまでは、首都のレイキャビクからは40kmで、車で30分ほどかかります。最寄りのケプラヴィーク空港からは20分ほどで行けます。
また、レイキャビクからは直送のシャトルバスも走っているので、アイスランド旅行の際はぜひ足を運んでみてください。