北欧デンマークのコペンハーゲンには、デンマーク女王が居住している王宮のアマリエンボー宮殿があります。
敷地内には騎馬像や博物館、毎日正午には王室を守る衛兵隊による交代式も開催されるなど、デンマークでは有数の観光スポットとしても知られています。
今回はデンマークの歴史を直に感じることができる名所、アマリエンボー宮殿について紹介します。
女王が居城するアマリエンボー宮殿
アマリエンボー宮殿は、北欧デンマークの首都コペンハーゲン北部にある宮殿です。
別名「冬の王宮」と呼ばれ、八角形の広場には4つの宮殿が建ち並んでいます。これら全てを総称してアマリエンボー宮殿と呼びます。
宮殿前には荘厳な騎馬像が立っており、宮殿建設に関わったとされるフレデリク5世をモデルにしています。この騎馬像は1771年にフランス人彫刻家によって作成されました。
アマリエンボー宮殿は1794年以降、デンマーク王室の居住地として使われており、現在でもデンマーク女王マルグレーテ2世が居住しています。女王が宮殿に滞在しているかどうかは、屋根に掲げられた王室の旗の有無で確認できます。
広場には、4つの宮殿のうち一部が博物館として公開されており、デンマーク王室と国民の距離感の近さが伺えます。また、王宮を守る衛兵隊による交代式が毎日正午に開催され、観光客にも人気のスポットです。
広場を囲う4つの宮殿が特徴
アマリエンボー宮殿の特徴は、八角形の広場を東西南北から囲む同じ外観の4つの宮殿です。
宮殿の建築はロココ様式と呼ばれるもので、曲線を多用した優美なインテリア装飾と柔和な色彩が特徴です。
ロココは貝殻や小石を意味する「ロカイユ」に由来し、フランス王侯貴族の宮廷発祥の様式です。
4つの宮殿には、それぞれ歴代デンマーク王の名前が付けられており、クレスチャン7世宮殿、クレスチャン8世宮殿、クレスチャン9世宮殿、フレデリック8世宮殿と呼ばれています。
一般公開されているのは、宮殿博物館として使用されているクリスチャン8世宮殿と要人謁見のためのクリスチャン7世宮殿です。
クリスチャン9世宮殿は、女王や王族の住居区であり、民間人は立ち入ることができません。
王族の居城となった経緯
実はアマリエンボー宮殿は1750年に建設が始まった当初は、貴族のための宮廷になる予定でした。
しかし、1794年に当時の王室の居城であったクリスチャンスボー宮殿が火災に見舞われるという事件が起こりました。
そのため、急遽王室一族は代わりの住まいとして、現在のアマリエンボー宮殿を購入したのです。
18世紀末までデンマーク王室の居城だったクリスチャンスボー城は、こちらの記事でも紹介されています。
毎日正午に行われる衛兵交代式
アマリエンボー宮殿の見所として、毎日正午12時に開催される衛兵交代式が挙げられます。
衛兵交代式ではアマリエンボー宮殿と、コペンハーゲン市内のもう一つの王宮であるローゼンボー城の衛兵が入れ替わりを行います。
ただし、衛兵交代式が行われるのは、デンマーク女王が宮殿に滞在中のみとなっています。
交代式は、衛兵隊が演奏する音楽が織りなすファンファーレが鳴り響く、盛り上がりを見せる式典のようなものだそうです。なお、一年で最も盛大に衛兵交代式が催されるのは、4月17日の女王の誕生日セレモニーです。
王族ゆかりの品が展示された王宮博物館
1994年にはアマリエンボー宮殿の4つの宮殿の一つであるクリスチャン8世宮殿が、一般に公開される博物館としてオープンしました。
王宮博物館には、デンマーク王室が1863年から1947年にかけて使用したとされる家具、工芸品、歴代王室の資料などが展示されています。
これらの展示品は、文化的・歴史的な価値が極めて高く、また歴代王室の歴史や当時の暮らしについて知ることができます。デンマークに興味を持っている人にとっては必見の博物館と言えます。
まとめ
アマリエンボー宮殿は、コペンハーゲン中央駅から直通電車で行けるため、デンマーク観光でも人気の名所となっています。
エレガントなロココ様式が施された美しい宮殿や、一糸乱れぬ姿を見ることができる衛兵交代式、そしてデンマーク王室ゆかりのコレクションを観覧できる博物館など、デンマークの伝統が詰まった魅力的な宮殿です。