ノルウェー第3の都市であるトロンハイムには、荘厳な教会である「ニーダロス大聖堂」があります。この教会は外観だけでなく、中世以来多くの巡礼者が訪れる聖地でもあります。
今回は、ニーダロス大聖堂に焦点を当て、その歴史や聖地と呼ばれる理由について紹介します。
ノルウェー・トロンハイムにあるニーダロス大聖堂
「ニーダロス大聖堂」とは、11世紀から14世紀にかけて建てられた、ノルウェー最大規模の大聖堂です。
この大聖堂は、1015年から1028年にノルウェーを統治していたオーラヴ2世を祀る建物であり、全国から多くの巡礼者が訪れる聖地となっていました。
ニーダロス大聖堂は、ノルウェー中部に位置するトロンハイムにあります。トロンハイムは、首都オスロの北部に位置し、約640kmの距離があります。オスロからトロンハイムへの移動は、飛行機で約1時間、鉄道で約6時間ほどかかります。
また、トロンハイムは、ノルウェーで最初に誕生した首都として知られ、現在でも国内第3の規模を誇る都市となっています。
2種類の建築様式による国内最大級の大聖堂
ニーダロス大聖堂は、石造りの大聖堂で、ゴシック様式とロマネスク様式が融合した建築物です。
中世に建てられたこの大聖堂は、積み重ねられた歴史が生み出す荘厳な佇まいが特徴的です。
内部には、高い天井の空間に2つの壮麗なパイプオルガンが設置されており、穏やかな雰囲気が広がっています。
また、旧約聖書と新約聖書の場面が描かれたステンドグラスや彫刻など、神秘的な装飾が施されています。
大聖堂の横には、かつて大司教の住居として使用されていた建物があります。
現在では、ニーダロス大聖堂に由来する調度品や美術品が展示された宮殿博物館として、一般公開されています。
夏季シーズンの6月から8月には、大聖堂の塔の展望台が利用可能です。
展望台までの172段の螺旋階段を登るのは多少難儀するかもしれませんが、頂上からの眺めは一見の価値があります。
トロンハイムのカラフルな家々や、地平線まで広がるフィヨルド(入江)を一望することができるそうです。
ニーダロス大聖堂の歴史
ニーダロス大聖堂は1070年に建築が始まり、200年以上の歳月をかけて工事が行われ、1300年頃に完成しました。
しかし、その後も何度も火災や落雷による損害を受け、再建を繰り返すこととなります。特に1327年と1531年の火災は大きな被害をもたらしました。
さらに1719年には落雷による火災で損傷し、長期にわたり再建が行われなかった時期もありました。
しかし、1869年にハインリヒ・エルンスト・シルマーの指揮のもと、1世紀以上かけて大規模な再建工事が行われ、2001年に最終的な工事が終了しました。
現在、ニーダロス大聖堂は再び荘厳な姿を取り戻し、ノルウェーの公式行事の場としても利用されています。
例えば、ノルウェー王の戴冠式は15世紀からニーダロス大聖堂で執り行われてきました。また、ノルウェーの現国王ハーラル5世の即位式もニーダロス大聖堂で行われました。
国王オーラヴ2世が眠る聖地
ニーダロス大聖堂は、オーラヴ2世が埋葬された聖地であり、中世の時代には多くの巡礼者が各地から訪れる北欧最大の聖地として知られていました。
オーラヴ2世は1030年に没し、翌年に列聖(聖人の地位に迎えること)が行われました。
聖人が祀られたニーダロス大聖堂は、特別な意味を持つようになりました。
また、首都オスロからニーダロス大聖堂までのルートは巡礼路として知られ、近年でも巡礼の旅を行う観光客も珍しくありません。
ルート途中には宿泊施設や飲食店も整備されており、巡礼地であるニーダロス大聖堂に到着した人には巡礼証明書も送られます。
北ヨーロッパ各地から信徒が訪れた、巡礼地としてのニーダロス大聖堂を体験したい人は一度チェックしてみるのも良いかもしれません。
まとめ
ニーダロス大聖堂はノルウェーのトロンハイムにある教会です。
国王オーラヴ2世が眠る聖地の一面を持ち、観光客と共に巡礼者も多く訪れます。
トロンハイムに訪れた際は、是非立ち寄ってみましょう。