サルミアッキは、北欧諸国で古くから食べられてきた伝統的な飴であり、現在では子供から大人にまで愛されています。
しかし、私たちが想像するような甘くカラフルな飴とは異なり、サルミアッキは真っ黒で、漢方のような味と匂いがあります。
今回は、「世界一まずい」と言われるサルミアッキに焦点を当て、まずさの裏にある魅力について紹介していきます。フィンランドの独特なグルメを知りたい人は、ぜひ読んでみてください。
世界一まずいと言われる真っ黒な飴
私たちが想像するキャンディと言えば、甘くて美味しいというイメージが一般的だと思いますが、フィンランドをはじめ北欧諸国ではサルミアッキという、真っ黒で不味いと言われる飴が人気となっています。
サルミアッキは薬草のスペインカンゾウを原料としたリコリス菓子に、化学成分である塩化アンモニウムを加えたキャンディであり、お菓子というよりも漢方薬に近い、クセの強い味わいとアンモニア臭が特徴です。
また、サルミアッキは光沢を放つ真っ黒な見た目も特徴的であり、フィンランドや北欧諸国では親しまれる嗜好品として、古くから食べられてきた伝統的なお菓子でもあります。
しかし、サルミアッキの味に慣れていない北欧以外の人からは大変不評を買っており、ネット上では「世界で最もまずい飴」と話題になったほどです。
甘草を使ったリコリス菓子の1種
サルミアッキというお菓子はリコリス菓子に分類されます。
リコリス菓子は日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、欧米ではポピュラーなお菓子の一つです。
お菓子の原料となるのがリコリスという薬草であり、スペインカンゾウとも呼ばれます。
リコリスは甘草科の植物で、仄かな甘味があるのが特徴です。リコリス菓子も、このリコリスの根などから抽出した成分で作られます。
リコリスと塩化アンモニウムが原材料
サルミアッキが他のリコリス菓子と大きく異なる点は、リコリスに加えて塩化アンモニウムを原料として使っていることです。
塩化アンモニウムはフィンランド語でサルミアッキと言われ、名前の由来ともなっています。
ただし、塩化アンモニウムは強烈な刺激臭を持つ化学物質で、本来は喉の痛み止めなどの医薬品や肥料として利用される成分です。
これをお菓子に利用することで、塩化アンモニウム独特の塩味や苦味、鼻の奥を刺すようなアンモニア臭が口の中を刺激し、サルミアッキの特徴的な味わいが生まれます。
リコリスと塩化アンモニウムという、まさに刺激物と刺激物を組み合わせたようなお菓子と言えます。
タイヤのゴムに例えられる味
「世界一まずい」と言われるサルミアッキの味わいについて、一般的には以下のように表現されます。
サルミアッキを食べた人によると、最初に塩化アンモニウムによる強烈な塩味とアンモニア臭を感じます。
その後、徐々に苦味や甘ったるさが漢方のような臭気と混ざり合い、口の中を支配するそうです。
このリコリス特有の甘さ、塩化アンモニウムの塩気とアンモニア臭から、サルミアッキというお菓子の感想として、「タイヤのゴムを食べているかのよう」と評する人も少なくありません。
そのあまりに個性的な味わいが、サルミアッキが北欧以外の地域ではほとんど食べられていない理由にもなっているのです。
フィンランド人にとってはお馴染みの味
サルミアッキは、食べ慣れていない海外の人からは「世界一まずい」「タイヤのゴムを食べているみたい」と不評ですが、本家フィンランド国民の間では独特な刺激やクセの味わいが病みつきになり、大人気のお菓子となっています。
サルミアッキは、1930年頃からフィンランドで手軽なスナック菓子として広まりました。
おそらく販売当初は、フィンランドでもネガティブな意見が多かったかもしれませんが、時間が経つにつれて独特な味や匂い、のど飴のような食後の清涼感に虜になる人が増え始め、少しずつサルミアッキが受け入れられるようになったのでしょう。
現在では、フィンランドの老若男女が定番おやつとしてサルミアッキを親しんでおり、値段も日本の市販のキャンディやチョコレートとあまり変わりません。
また、サルミアッキは王道のキャンディに加え、グミタイプなど様々な商品が販売されています。さらに、サルミアッキ味の飲料やパウダーもあるようです。
フィンランドでいかにサルミアッキが支持されているかがわかりますね。
まとめ
フィンランドのお菓子、サルミアッキは、甘草のリコリスと化学成分の塩化アンモニウムを原材料としています。
世界一まずいという評判があるものの、フィンランド旅行のお土産としては意外と人気があります。
ただ、何の情報も伝えずに渡してしまうと、関係にヒビが入る可能性が高いため、味について事前に説明することを忘れないようにしましょう。