冬になるとノルウェーは国中に雪が積もり、スキーを楽しむ人の光景が広がります。
スキー愛好家が多いノルウェーで大きな盛り上がりを見せるのが、ノルディックスキーの世界選手権です。
そして国際大会が開催されるのが、今回取り上げるホルメンコーレンジャンプ競技場となっています。
ここではホルメンコーレンジャンプ競技場について、詳しく解説していきます。
スキー愛好家にとって必見の内容となっているので、是非最後まで読んでみてください。
スキーの聖地、ホルメンコーレンジャンプ競技場
北欧ノルウェーは雪国であり、スキーは国民的スポーツとも言える人気競技です。国内外のスキープレイヤーが集まり、スキージャンプの大会も頻繁に開催されるのが今回紹介するホルメンコーレンジャンプ競技場です。
ホルメンコーレンジャンプ競技場は、オスロ郊外のホルメンコーレン地区にあり、スキージャンプの会場として知られています。
こちらの会場は過去何度も改修工事が行われており、2010年には翌年の2011年に開催される世界スキー選手権に向けてリニューアルオープンされました。
ジャンプ台であるスタートタワーは地面から60m、海抜417mと非常に高い位置にあります。また、周囲には常設の観客席やスキー博物館などの関連施設も建っています。
ホルメンコーレンスキー大会には、日本人選手も多数エントリーしています。
例えば、2013年には日本の高梨沙羅選手がホルメンコーレンジャンプ競技場で開催された大会に参加し、134.0mという記録を叩き出しました。男子では2016年に葛西紀明選手が143mを記録しました。
また、ノルウェーはノルディックスキーの発祥の地とも言われており、ホルメンコーレンジャンプ競技場はスキープレイヤーにとって聖地とも呼ばれています。
ノルウェーは世界有数のスキー大国
ノルウェーは高緯度に位置しており、年の大半が雪や氷に覆われています。
この寒冷な気候を活かし、ウィンタースポーツが盛んに行われており、スキー人口も非常に多いです。
「ノルウェー人はスキー板を履いて生まれてくる」という言葉もあるほど、スキーはノルウェーの国民的スポーツとして親しまれています。
また、「スキー」という言葉自体も、ノルウェー語で「薄い板」という意味を持っています。このことからも、ノルウェーとスキーの関係の深さがうかがえます。
北欧発祥のノルディックスキーについて
ホルメンコーレンジャンプ競技場では毎年、ノルディックスキーの国際大会が開催されています。
先ほど、「スキー」という言葉は「薄い板」を意味するノルウェー語だと説明しましたが、ノルディックスキーという競技も北欧発祥のスキーの1種であることが分かっています。
ノルディックスキーは「北欧の~」を意味する「Nordic(ノルディック)」に由来する言葉で、北欧諸国ではスキーは元々、交通や狩りのための手段として利用されていました。
その歴史は古く、紀元前2500年頃に描かれた壁画にも板を履いて狩りを行う様子が記されていたほどです。そして時代を経るにつれ、徐々に現在のように斜面を滑走するスポーツに変化していきました。
ノルディックスキーは狩りや移動の手段であったものが、1800年代になると徐々に競技の形となり始めます。
そして1924年には、フランスのシャモニー・モンブランで開催された第1回冬季オリンピックで競技種目として認められたのです。
ノルディック競技には、タイムを競う「クロスカントリー」、飛距離と得点を競う「ジャンプ」、そしてクロスカントリーとジャンプの合計得点で競う「コンバインド」の3種目があります。
ホルメンコーレンジャンプ競技場で行われるのは「ジャンプ」というノルディックスキーの種目です。
一方で、私たちがスキーと聞いてイメージするであろう、雪山の斜面を滑走するスキーは「アルペンスキー」と呼ばれ、ノルディックスキーを基にヨーロッパのアルプス地方で発展したスキーの形態です。
北欧諸国のように緩やかな丘陵地帯が多く、平坦な雪上を移動することに特化したノルディックスキーに対し、アルペンスキーは「アルプス山脈」を意味する「Alpine」に由来するスキースタイルで、険しい山岳地帯が多いヨーロッパにおいて安全に雪山を降りるために発展しました。
そのため急斜面を高速で滑降することに長けています。
ホルメンコーレンジャンプ競技場の歴史
ホルメンコーレンでスキーの競技大会が開催されるようになったのは、1892年のことです。
それより以前には、ホルメンコーレン大会の前身として、1879年から1891年までノルウェー・クリスチャニア(現在のオスロ)のヒューズビー丘で大会が行われていました。
この大会には、当時のノルウェー国王も列席し、1万人以上の観客が集まりました。
しかし、ヒューズビー丘では降雪不足の問題がたびたび起こり、1891年には新しいジャンプ台の建設が提案されました。
その後、ノルウェースキー振興協会により現在のホルメンコーレンジャンプ競技場が建設され、記念すべき第1回大会が1892年1月30日に開催されます。
1952年には、ノルウェーのオスロで開催された冬季オリンピックによって、観客席の常設やジャンプ台の拡張など大規模な改修が行われ、ホルメンコーレンジャンプ競技場は大きく発展しました。
世界最古のスキー博物館やアクティビティも見所
ホルメンコーレンジャンプ競技場は、年間100万人以上の観光客が訪れる、ノルウェーでも有名な観光スポットです。
ジャンプ台以外にも名所として知られる施設が多く、その中の1つにスキー博物館があります。
1923年にオープンした博物館では、スキー板やスキー用具の発展の歴史を見学することができます。また、スキーを専門とした博物館としては世界最古のものの1つでもあります。
さらにホルメンコーレンジャンプ競技場では、高さ361mから滑車に乗って移動するジップラインのアトラクションも楽しめます。
ジャンプ台から飛び降りるスキー選手のような迫力ある体験ができるとされています。
入場料はジャンプ台と博物館の共通券がありますが、ジップラインは別途料金がかかります。
ジャンプ台の頂上からは、オスロ市内を一望できる素晴らしい景色が広がります。
まとめ
今回の解説で、ホルメンコーレンジャンプ競技場がスキーファンにとっての聖地であることが分かりました。
1892年の第1回大会以来、世界中のスキープレイヤーが技術を競い合い、毎年のように大会が開催されています。
ぜひ、スキーファンの方はノルウェーのオスロにあるこの素晴らしい競技場を訪れて、その魅力を体感してみてはいかがでしょうか。