デンマークには、北欧で最大のルネサンス様式が採用されたフレデリクスボー城があります。
パラス湖の3つの島の上に建築されたフレデリクスボー城は、荘厳な外観も相まって、まるで湖面に浮かぶかのような神秘的な雰囲気をまとっています。
この城は、デンマーク王2代にわたり改築が行われたり、火災に見舞われたがその後見事に復旧を果たしたといった興味深い歴史を持つ城でもあります。
今回は、そんな北欧デンマークの名城、フレデリクスボー城について紹介します。
フレデリクスボー城とは?
フレデリクスボー城は北欧最大のルネサンス様式の古城で、デンマークの首都コペンハーゲンから約30km北部に位置する北シェラン島のヒレレズに建っています。
美しいパラス湖に浮かぶ3つの小島に建てられた幻想的な雰囲気を醸し出す城として、デンマークの名所となっています。
フランスのヴェルサイユ宮殿と同じルネサンス様式が採用され、赤煉瓦造りの華やかで重厚な外観となっています。
城壁や内部は細部に至るまで優美な装飾が施されており、その息を飲むような美しさからデンマーク内でも屈指の名城と言われています。
フレデリクスボー城は1560年に当時のデンマーク王フレデリク2世によって計画・基礎の建築が行われ、息子であるクリスチャン4世によって1620年に現在の姿が完成しました。
フレデリクスボー城完成までの経緯
フレデリクスボー城は、城名の由来ともなったデンマーク王フレデリクス2世によって1560年に建築が始まりました。
現在のフレデリクスボー城の大半を築いたのは、フレデリクス2世から王位を継承した息子のクリスチャン4世であり、彼自身も1577年にこの城で生まれています。
17世紀初頭にはオランダ人建築家のロレンツ・ファン・シュテーヴィンゲルとハンス・ファン・シュテーヴィンゲルと共に建築を行い、1602年から18年の歳月をかけて完成させました。
フレデリクスボー城は、クリスチャン4世の死後のデンマーク王の居城として使用され、1671年から1840年の間は戴冠式の場としても使用されました。
建築の際に施されたオランダ様式に魅了されたクリスチャン4世は、コペンハーゲンにも夏の離宮としての宮殿を建てるよう命じ、その結果生まれたのが現在でも有名なローゼンボー城です。
現在は国立歴史博物館として一般公開
フレデリクスボー城は、デンマーク王家が所有していた過去何世紀にもわたる調度品や美術品が保管・展示されている、国立歴史博物館として1877年に開館しました。
火災によって城の内装のほとんどが焼失したことをきっかけに、国王や州を挙げて献金を集め復興に取り組みました。
ビール会社「カールスバーグ」の創業者J・C・ヤコブセンも多額の資金を出し、復旧の大きな助けとなったそうです。
18年後の1877年には、各地からの献金のおかげで焼失の痛手から立ち直り、新たに国立歴史博物館として再出発しました。
博物館では、デンマークの歴史的なコレクションとして、絵画や陶器、宝具などが数多く展示されています。
また、デンマーク最大規模の肖像画のコレクションも展示されているそうです。
また、フレデリクスボー城の2階には、クリスチャン5世の代に宮廷建築家によって作られた教会があります。
元々は王族専用の場所でしたが、現在では毎年音楽コンサートが開かれています。
1859年の火災時でも教会はほとんど被害を受けず、建築当時のインテリアがそのまま残っているのも特徴です。
毎週木曜日には13時30分から14時まで、最も古いもので1610年製造の3つのオルガンによる演奏も開催されています。
湖や庭園といった城外の名所について
デンマークの歴史を物語る美術品が集う城内はもちろん、庭園や湖など、綺麗に整備された城の周りの風景も見どころです。
正門の城門をくぐった先には中庭があり、その中心部には噴水とネプチューンの銅像が建てられ、来訪者を出迎えてくれます。
中庭のネプチューン像は北方戦争の最中である1659年にスウェーデンのストックホルムに移動し、現在でもストックホルム郊外のローベン島にある世界遺産ドロットニングホルム宮殿の中庭にあります。
そのため、フレデリクスボー城中庭にある銅像はレプリカだそうです。
また、フレデリクスボー城の庭園では、フランスの庭園を元にした独特の造形美を鑑賞できます。
バロック様式が採用された庭園は1700年代に設計され、1993年から1996年にかけて再建されました。
王冠の紋様を思わせるデザインに、植木を模った美しい模様が敷き詰められており、観光客からも高い評価を得ています。
まとめ
デンマークにおいて、16世紀から続く歴史を誇る北欧最大のルネサンス様式の城がフレデリクスボー城です。
城名の由来となったフレデリクス2世とその息子クリスチャン4世によって築かれた城は、現在でも静かに湖の上に佇み、デンマークの街を見守っています。
一度は火災に見舞われて大部分が焼失したものの、見事に博物館として復興を果たしたフレデリクスボー城は、デンマーク観光の際には欠かせないスポットとなっています。