酪農大国であるデンマークにはバターやミルクを使ったパンが数多くあり、今回紹介するティビアキスもその1つです。
デニッシュ生地にバターとケシの実を加えたティビアキスは、デンマークではお馴染みのパンとなっています。
ここではデンマークのケシの実パンことティビアキスについて、詳しいレシピや名前の由来について解説していきます。
北欧のベーカリーに興味がある人は、是非読んでみてください。
ティビアキスはデンマーク定番の朝食パン
ティビアキスとは、デンマークの定番朝食パンで、上からケシの実がトッピングされた特徴的なパンです。
デンマークは元々酪農が主要産業であり、チーズやミルクを使用したパンが日常的に食べられています。代表的なものとして、日本でも親しまれているデニッシュがあります。
ティビアキスも、バター、塩、水、小麦粉、牛乳を基本材料としたデニッシュタイプのパンの1種です。しかし、デニッシュが砂糖で甘く味付けされるのに対して、ティビアキスはバターペーストを使用して塩味を加えています。
バターペーストが練り込まれたパン生地の層が特徴
ティビアキスは、幾重にも重なった薄い生地が特徴的な、デンマークの朝食パンです。
クロワッサンのようなサクサクとした食感を楽しめ、生地は全部で27層になっています。これは、パン生地を3つ折りにして畳む作業を3回繰り返すことで作られます。
ティビアキスの生地には、バターペーストがたっぷりと練り込まれているのが特徴で、塩味の味わいが楽しめます。
一般的なデニッシュは、砂糖やフルーツなどが入った甘い味わいが特徴的ですが、ティビアキスはあっさりとした塩味のパンとして食べられます。
ただし、バターを多量に使用するため(最大で70%)、1個食べるだけでも高カロリーとなるため、適量に食べるように注意が必要です。
ティビアキスの名前の由来
ティビアキスという名前の由来として、「ティ」は「お茶」、「ビアキス」は「ケシの実」を意味しています。
ティビアキスの「ビアキス」は正確にはデンマーク語で「白ケシの実」を表している言葉ですが、実際は黒ケシの実をトッピングすることも珍しくありません。
また、名前の前半部分が「ティ(茶)」を意味していることからも分かる通り、ティビアキスはコーヒーや紅茶などのお茶と相性抜群のパンとしても知られています。
ティビアキスの起源
デンマークで代表的なパンと聞いて、多くの人がデニッシュを思い浮かべるかもしれませんが、デニッシュは実はオーストリア・ウィーンが起源とされています。
北欧諸国は一年を通して寒冷な気候であり、小麦の栽培には適していません。そのため小麦は庶民にとっては希少な品であり、小麦の代わりにライ麦を使った黒パン(ライ麦パン)が日常的に食べられてきました。
そのため、デニッシュののような精製された小麦を使ったパンがデンマークに入ってきたのはごく最近のことです。
ティビアキスの発祥については諸説ありますが、有力なのが19世紀のオーストリアから伝わったパンがデンマークで独自のアレンジを加えられたという説です。
19世紀当時、オーストリアではパン屋がストライキを起こし、オーストリア国内のパン屋は抜け駆けになることを恐れて、表立ってパンを販売することができない状況にありました。
そのような事情から、オーストリアからデンマークに移った職人もおり、彼らはデンマークに多くのパンのレシピを伝えました。デニッシュの源流となったパンもこの時に伝わったと言われています。
こうしてデンマークのパン屋に伝わったレシピを元に、デンマークのパン屋がバターペーストやケシの実のトッピングを追加して誕生したのが、現在のティビアキスとされています。
デニッシュの詳細については、以下の記事がおすすめです。
まとめ
デンマークで愛されるデニッシュタイプのパンの一つであるティビアキスについて、ここまで紹介してきました。
バターペーストとケシの実が使われたティビアキスは、日本を含め海外ではあまり見られないデンマークならではのパンと言えます。
また、デンマークのデニッシュは生クリームやジャム、ドライフルーツなどがトッピングされることも珍しくありませんが、ティビアキスのトッピングは基本的にケシの実のみとなっています。
そのため、ティビアキスはケシの実やバターの本来の、混じり気のないシンプルな風味や美味しさを楽しめるパンと言えます。