フィンランドには、グラタンに似たキャセロールというオーブン料理があります。
キャセロールの特徴は、耐熱容器に野菜や肉、魚、マカロニ、米など好みの食材を入れて、オーブンで焼くだけの簡単レシピです。
その手軽さから、フィンランドの家庭では忙しいときに重宝される便利なレシピとして人気があります。
この記事では、簡単調理&栄養豊富な「キャセロール」について、さらに詳しくご紹介します。
フィンランドの家庭料理に興味がある方、手軽なレシピをお探しの方は、ぜひご覧ください。
フィンランドの家庭料理、キャセロールとは?
キャセロールとは、野菜や肉・魚、米、チーズなどを刻んで耐熱容器に詰め、オーブンで焼いた北米発祥のオーブン料理です。
手軽さとボリューム感から、フィンランドでも頻繁に作られるようになりました。
底の深いオーブン皿に好きな具材を入れて焼くレシピは、グラタンに似ているかもしれません。
しかし、キャセロールは野菜やチーズだけでなく、米やパスタの麺、シロップなどの甘味料も使えるため、レシピの幅が広いのが特徴です。
時短&簡単レシピが魅力
キャセロールのレシピは非常に簡単で、鍋に食べたい食材を入れて、オーブンで加熱するだけです。
焼きあがったら容器ごとそのまま食卓に出せるため、お皿に移す手間も省け、洗い物も減らせます。
また、冷蔵庫の余り物を処分したい時にもキャセロールは大活躍です。
日本でも余った食材を、野菜炒めや肉じゃがにして一斉処分する人も多いと思いますが、キャセロールも同じ要領で調理できます。
このように、キャセロールの時短、簡単、栄養満点という点がフィンランド人の生活スタイルにマッチし、人気の理由となっています。
フィンランドの家庭は男女平等で、共働きの親が多いため、自分たちのために料理をする時間は限られています。
温かい料理を食べるのは夕食のみで、朝食や昼食は前日の残りやサンドイッチなどの簡単な料理が多いです。
鍋料理やオーブンを使った料理が多いのも、時間と手間を省きたいという気持ちの表れかもしれません。
キャセロールは、シンプルなレシピで野菜を多く摂取でき、冷蔵庫にストックできるため、フィンランドの家庭で好まれています。
幅広いアレンジレシピの数々
キャセロールのレパートリーは、野菜や肉、魚介類、マカロニなど多岐にわたります。
例えば、ジャムやシロップで甘くしたり、生クリームでクリーミーにしたりすることもできます。
フィンランドの家庭の数だけ、この料理のバリエーションがあるのです。
また、フィンランドでは日本と同じようにご飯もよく食べられ、チーズやクリームソースをかけたドリア風のキャセロールもあります。
さらに、フィンランドではクリスマスのディナーでもキャセロールが振る舞われます。
フィンランドでは、クリスマスに主に3種類のキャセロールを食べる習慣があります。
それは、ニンジンキャセロール、ポテトキャセロール、ルタバガキャセロールです。
ニンジンは、砂糖が普及する以前のヨーロッパで甘味料の代わりとして使われていたほど、現地ではポピュラーな食材です。
ジャガイモは耐寒性や保存性が高いため、フィンランドでは古くから主食として食べられてきました。
ニンジンとジャガイモのキャセロールはイメージしやすいかもしれませんが、「ルタバガ」という食材については、おそらく聞いたことがないのではないでしょうか。
ルタバガはスウェーデンカブとも呼ばれ、スウェーデン原産のカブの一種です。
日本ではあまり見かけないですが、ルタバガは北欧ではおなじみの食材です。
煮崩れしにくいため、スープやシチューなどの煮込み料理によく使われます。
甘味があるため、フィンランドでは生のままサラダで食べることもあります。
キャセロールの語源について
「キャセロール」は、フランス語で鍋を意味する「casserole」が語源です。
しかし、キャセロールは英語圏の言葉であり、フィンランド語では別の呼び方があります。
「カーリラーティッコ(kaali laatikko)」はキャベツのキャセロール、「ペルナラーティッコ(peruna laatikko)」はジャガイモのキャセロールを意味します。
このように、フィンランドではキャセロールのことを「〇〇ラーティッコ」と呼びます。
「laatikko」はフィンランド語で「箱」を意味します。例えば、「Peruna laatikko」は「ジャガイモの箱」と訳されます。
キャセロールは、材料を入れる容器が箱に似ていることから、フィンランド語で箱を意味する「laatikko」と呼ばれるようになったと言われています。
キャセロールが北米で生まれた背景
キャセロールは、20世紀に北米で誕生したオーブン料理です。
キャセロールが北米で誕生した背景には、20世紀初頭に安価な耐熱容器が一般に普及したことがあると言われています。
また、第一次世界大戦や世界恐慌の食糧難の時代に、冷蔵庫にある材料で作れる手軽さが好まれたことも理由のひとつとされています。
1950年代以降、女性の社会進出や共働きの増加に伴い、キャセロールは手軽で簡単に作れる家庭料理として北米で広く普及しました。
まとめ
キャセロールは、耐熱容器に材料を入れて焼くだけの簡単な料理です。
そのシンプルさから、手早くキャセロールを作りたいフィンランドの家庭で人気があります。
冷蔵庫にある材料だけで簡単に調理することができ、肉や魚からご飯まで、さまざまなレシピに対応します。ぜひ、次の夕食に作ってみてください。