フィンランド

【エアギター世界選手権】エアギターを魅せるフィンランドの大会

エアギター世界選手権
伊東 春乃
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フィンランドのオウルという街では、毎年8月になると世界中から参加者が集まるエアギター世界選手権というお祭りが開催されます。

エアギターは、体を使ってギターを弾いているような動きを魅せるパフォーマンスであり、最も美しく表現力にあふれたエアギタリストを決める大会として知られています。

今回は楽器が登場しないフィンランドの珍しい演奏大会、エアギター世界選手権について紹介したいと思います。

フィンランドで行われるエアギター世界選手権

エアギター世界選手権は、1996年から毎年8月にフィンランドで開催される、参加者がエアギターで競い合う大会です。

会場は、北極圏からも近いフィンランドの北部に位置するオウル市です。オウル市は、人口20万人ほどの都市で、IT産業が発達していることで知られています。

エアギターとは、ジェスチャーを使ってまるで本当にギターを弾いているかのように見せるエンターテイメントのことです。

自分のお気に入りの音楽を聴いているときに、その曲に合わせて身振り手振りでエアギターをしたことがある人も多いのではないでしょうか。

エアギター世界選手権では、他の音楽の大会のように楽器演奏の上手さを競うわけではありません。バックミュージックに合わせて、巧みな指使いや感情豊かな表情など、体全体を使って縦横無尽にステージ上でパフォーマンスを行います。

最後に審査員が各人のエアギターを評価し、最終的に最も優れた表現をした1人を選びます。

実は、エアギター世界選手権は国際的な大会として広く認知されています。フィンランド以外にも、アメリカ、フランス、タイ、日本などでも本戦出場をかけた国内大会が行われています。

世界平和が大会コンセプト

エアギター世界選手権は、ただ単にダイナミックなエアギター使いを決めるだけの大会ではありません。

実は、この大会のコンセプトは世界平和を目指しているのです。エアギターを世界中の人が楽しめば、戦争や地球温暖化、世界の様々な問題を解決できるという壮大な目的があります。

大会のスローガンは「Make Air Not War」。つまり、戦争で武器を取る代わりに、誰もが楽しめるエアギターで皆を笑顔にしたい、そのような思いが込められています。

エアギターの世界チャンピオンの決め方

エアギター世界選手権に出場するためには、まずは事前の現地予選もしくは各国で開催される国内大会で優勝して、代表選手に選ばれる必要があります。国内大会を自国で開催するには、世界エアギター協会に加盟していることが条件です。

世界各国の代表者が8月にフィンランドで開催される本大会であるエアギター世界選手権でしのぎを削り、最終的な世界チャンピオンが決定されます。

大会の流れとしては、全2ラウンド構成となっています。

1回戦では、各参加者が自身が準備した曲でエアギターを披露し、その後審査員の評価によって上位10名にまで絞り込まれます。そして決勝戦では大会側が提示した曲をテーマに、それぞれ即興でエアギターを行います。

エアギターの審査は、5人の審査員が6点満点で点数を出し合い、その合計点数を競います。

審査員個々人の音楽性や好みによって点数が極端に上下しないよう、中立性を確保するために、最低点と最高点を除いた3名の点数が合計されます。

エアギターのパフォーマンスに与えられた時間は、わずか1分間です。その短い時間の中で、自身の体全体を使ってエアギターを弾き、審査員の感情を揺さぶらなければいけません。

最も優れたパフォーマーには、表現の豊かさや動きの巧みさ、エンターテイメント性の高さなど多数の評価項目を総合して、世界チャンピオンの称号が与えられます。

大会では日本人も大活躍

エアギター世界選手権には日本人エアギタリストも出場しており、会場で素晴らしいエアギターを披露しています。

2014年と2018年には女性エアギタリストの名倉七海氏が優勝しました。2004年には金剛寺武志氏が日本人初参加を果たし、同年と翌年には共に4位入賞という活躍を見せました。

また、お笑い芸人のダイノジの大地洋輔氏も参加し、2006年と2007年の大会で見事優勝に輝きました。彼は元々ギターの経験があるわけではなく、実物のギターは全く弾けない状態で参加して優勝したそうです。

エアギター世界選手権は、ギターのテクニックよりも、パフォーマーとしての表現力や熱意が重視される競技と言えます。

まとめ

フィンランドで開催されるエアギター世界選手権は、演奏を競う大会ながら全く楽器が登場しない、少し変わったお祭りです。

しかし国際大会として大きな知名度を誇り、毎年多数の参加者がエアギターを通して自信を表現する、エンターテイメントの祭典なのです。

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