5月1日は、労働者の権利向上を求めるメーデー運動の日です。
フィンランドではこの日をヴァップと呼び、ムンッキという特別な揚げ菓子を食べる習慣があります。
ムンッキはドーナツに似た揚げパンであり、この日には特に人気があります。今回は、そんなムンッキについてご紹介します。
ムンッキとは?
毎年5月1日には、世界中で「メーデー」と呼ばれる集会が行われ、労働者の権利向上を求める運動が展開されます。
北欧のフィンランドでも、5月1日は「ヴァップ」と呼ばれる祝日に定められています。世界的には労働者のための日ですが、フィンランドでは春の訪れを祝う記念日としての意味合いもあります。
そのため、フィンランドのヴァップでは、市民が暖かい日差しの中で食事やお酒を持ち寄り、各地でパーティを開催するのが通例です。
そして、フィンランドのヴァップの日には伝統的に、ムンッキと呼ばれるドーナツのような揚げ菓子が食べられます。
ムンッキは、小麦粉や卵、牛乳、スパイスを加えた生地を発酵させ、油でカリカリに揚げた高カロリーなスイーツです。
ムンッキ自体はフィンランドでは一年中出回っている人気のペストリーですが、5月1日のヴァップの日には特に消費量が増えます。
ムンッキのレシピの特徴
ムンッキは発酵菓子の一種で、通常のドーナツと比べて生地がモチモチでふわふわしているのが特徴です。
レシピとしては、薄力粉にバター、卵、牛乳、そしてスパイスを混ぜた生地を捏ねて、その後ドライイーストで生地をしばらく発酵させます。
日本のドーナツ作りと異なる点は、原材料にカルダモンを加えることです。北欧ではお菓子作りにスパイスのカルダモンを使用することが一般的です。
カルダモンは「スパイスの女王」と呼ばれ、鼻腔をくすぐる上品で爽やかな香りが特徴です。
この香りはカラッと香ばしく揚がったムンッキとも相性が良く、レシピではミルで削った粗挽きカルダモンを少量加えるのが美味しく作るコツです。
そして、十分に発酵させた後は、生地を手のひらサイズに形成します。ムンッキは、オーソドックスな穴あきドーナツ型や丸いボール型など、様々な形があります。
最後に丸めた生地をカリッと油で揚げ、表面にグラニュー糖をまぶせば完成です。
ムンッキはフィンランド風ドーナツとして紹介されることが多いですが、生地をパンのように発酵させるため、実際にはドーナツと揚げパンの中間のようなお菓子なのです。
ムンッキと一緒に飲まれる伝統飲料シマ
5月1日のヴァップの日には、ムンッキに加えて「シマ」という炭酸飲料をセットで飲むことが通例となっています。
シマは、水、レモン、砂糖、ドライイーストを原材料とする微炭酸のドリンクです。調理過程で発酵が進むことで炭酸ガスと微量のアルコールが発生し、独特の味わいが生まれます。
シマは16世紀のドイツやラトビアから伝わった蜂蜜酒が起源であり、現在のフィンランドでは蜂蜜の代わりに砂糖を使うのが一般的です。
18世紀までは一部の貴族が飲む高価な飲料でしたが、19世紀以降に原材料の価格が下がると、労働者階級の人々でも安価に飲めるドリンクとして広まりました。
このような経緯から、シマは労働者の日であるヴァップにも欠かせないドリンクとして、ムンッキと一緒に楽しまれています。
まとめ
毎年5月1日のメーデーの日には、フィンランドで伝統的に食べられているお菓子、ムンッキが楽しまれます。
油でカリカリに揚げられた表面と、モチモチとした食感がコントラストを生み出し、フィンランド版ドーナツとして広く親しまれているスイーツです。