鈴のように可愛らしい花弁が特徴のスズランは、日本でも観賞用植物として人気の高い花の一つです。
北欧でもスズランは夏の風物詩として愛され、フィンランドとスウェーデンでは国花に指定されています。
そこで今回は北欧2ヵ国の国花になったスズランについて詳しく解説していきます。
フィンランドとスウェーデンの国花
スズランは、名前の通り鈴のように丸く膨らんだ白い花が下向きで咲き誇る、可憐で涼しげな雰囲気の花です。
スズランは北欧でも自生しており、森や林、自宅の庭まで至る所で見かけることができます。
夏には北欧の市場でもスズランが出回り、その清涼な姿から夏の風物詩のような存在となっています。
このように北欧で古くから人々の生活の中にあったスズランですが、現在ではスウェーデンとフィンランドの2ヵ国で国のシンボルである国花に認定されています。
国花に認定された背景として、例えばフィンランドでは20世紀後半に国花や国鳥など、国を表すシンボルの募集が行われました。
投票の結果、フィンランドのシンボルとして選ばれたのが、国民にとって身近な存在のスズランだったのです。
スズランの基本情報
スズランはカジカクシ科スズラン属の多年生植物で、主な生息地はヨーロッパやアジアです。
日本では東北地方と北海道の高地に分布しています。日本では「鈴蘭」と表記されますが、これは花の形が鈴に似ていることが由来です。
一方、スズランの英名は「Lily of the valley」であり、日本語で「谷間の百合」と呼ばれます。これはスズランが主に谷間で咲くことからそう名付けられました。
スズランはスウェーデン語で「Liljekonvalj(リリーコンバーリュ)」、フィンランド語では「Kielo(キエロ)」と呼ばれます。特にフィンランド語の「キエロ」は、女性の名前にも選ばれる人気の言葉となっているようです。
ちなみに、日本でも生まれた女の子に「百合」や「桜」など花の名前を名付けることが多いですね。
スズランは可憐さや上品さといったポジティブなイメージがありますが、1つ注意点があります。
実はスズランは有毒植物で、毒性物質は全草、特に花と根の部分に多く含まれており、最悪の場合死に至るケースもあるほどの猛毒です。スズランはあくまで観賞用として眺めるにとどめ、決して食べないようにしましょう。
日本と北欧のスズランの違い
スズランは日本と北欧の両方の地域に自生していますが、それぞれの品種は異なります。
本州中部以北に咲く日本原産のスズラン(Convallaria keiskei)に対して、ヨーロッパではドイツスズラン(Convallaria majalis)が一般的です。
ドイツスズランは主に観賞用に販売される品種で、日本在来種のスズランよりも大型なのが特徴です。
また、ドイツスズランには香水にも利用されるほど強い芳香があります。
ヨーロッパのスズラン事情
ここでは、北欧以外のヨーロッパでのスズラン事情について紹介します。
ヨーロッパでは、スズランは「聖母マリアの涙」という別名でも知られています。これは、イエス・キリストが処刑された際に、聖母マリアが流した涙からスズランが生まれたという伝説に由来します。
また、スズランは結婚式とも深い関わりがあります。スズランの花言葉は「純愛」や「愛の告白」とされ、幸せな結婚式には最適な花とされています。
さらに、スズランが花嫁のウェディングドレスに似ていることから、ブーケの花としても人気があります。
特にフランスでは、スズランは幸運を呼ぶ花として知られており、毎年5月1日の「ミュゲの日(ミュゲはフランス語でスズランの意)」には、愛する人同士でスズランを贈り合う風習があります。
まとめ
鈴に似た可憐な形と涼しげな色合いが特徴のスズランは、北欧やヨーロッパ、日本でも愛されています。
フィンランドとスウェーデンの国花でもあるスズランは、フィンランドでは切手にも描かれており、身近な存在として親しまれています。