#37 スウェーデン語の同等比較(lika ~ som)|使い方と例文解説
Haruno NAVIA

スウェーデン語でよく使われる表現に「複合動詞」があります。
複合動詞とは動詞に副詞を組み合わせた表現で、もとの動詞とは意味が大きく変わるのが特徴です。
ここではスウェーデン語の複合動詞の基本ルールと、その使い方を解説していきます。
スウェーデン語の複合動詞は、動詞と副詞を組み合わせた表現です。
複合動詞の特徴は、「動詞の意味」が副詞によって変化・拡張する点です。
例えば、kasta(投げる)に ut(外へ)をつけた “kasta ut“ は、「外に投げる・追い出す」という全く別の意味を持つ表現になります。
| 単独動詞 | 複合動詞 | 意味 |
|---|---|---|
| kasta(投げる) | kasta ut | 放り出す・追い出す |
| gå(行く) | gå in | 中に入る |
| ta(取る) | ta av | 脱ぐ・取り外す |
| komma(来る) | komma fram | 到着する |
このように複合動詞では、もとの動詞に「方向性・結果・比喩的な意味」を加えることで、動詞の意味をより繊細に表現できます。
注意点として、複合動詞になることで独自の意味が生まれ、動詞と副詞を直訳しても意味が通らない場合があります。
例えば以下のケースでは、「動詞+副詞」の直訳に対して、実際の意味が大きく乖離しています。
| 複合動詞 | 備考 | 意味 |
|---|---|---|
| kasta ut | kasta(投げる)+ ut(外) | 外に放り出す、追い出す |
| ta på sig | ta(取る)+ på sig(自分の上に) | 身につける、着る |
| ta av sig | ta(取る)+ av sig(自分から離す) | 脱ぐ |
| komma in | komma(来る)+ in(中) | 中に入ってくる |
| gå bort | gå(行く)+ bort(遠くへ) | 外出する、亡くなる(婉曲) |
| se upp | se(見る)+ upp(上) | 注意する |
| ge upp | ge(与える)+ upp(上へ放棄) | 諦める |
“se upp”(注意する)や“ge upp”(諦める)など、意味が比喩的・慣用的になっているものも多いため、ひとつの動詞としてそのまま覚えるのが効果的です。
複合動詞と似ている構造に、「動詞+前置詞句」があります。
この2つは文法的にも機能的にも異なるため、区別することが大切です。
動詞と副詞が密接に結びつき、ひとつの新しい動詞の意味を形成します。
「動詞+前置詞句」のケースでは、複合動詞とは異なり、動詞と前置詞が文法的に独立しているのが特徴です。
このように「動詞の意味」はそのままで、「前置詞+目的語」を使って補足的に情報を加える形となっています。