ノーベル賞授賞式と言えば毎年12月10日にスウェーデンのストックホルムが開催される、最も有名なイベントの1つだと思います。
ノーベル賞は今から120年以上前、アルフレッド・ノーベルという人物が考案した賞です。
ここではノーベル賞がどのような賞なのか、そして発明家であったノーベルがなぜノーベル賞を作ったのかなどを解説していきます。
ノーベル賞とその考案者アルフレッド・ノーベル
毎年12月10日にスウェーデンのストックホルムで開催されるノーベル賞授賞式は、世界中から注目を集めるイベントです。
各分野で偉大な功績を成し遂げた人物に授与されるノーベル賞。このノーベル賞はスウェーデン発祥の賞であり、1901年にスウェーデン出身の発明家アルフレッド・ノーベルの遺言を元に誕生しました。
ノーベル賞の発案者であり賞の名前の由来ともなっているアルフレッド・ノーベルは、1833年にスウェーデンのストックホルムで生まれました。
そして1896年12月10日に亡くなるまで、アルフレッド・ノーベルは発明家として数多くの発明品を生み出しました。取得した特許の数は、355にも及びます。
ノーベルの数ある発明品の中でも最も有名なのは、ダイナマイトでしょう。
ダイナマイトは従来の爆薬とは比べ物にならないほど強大な破壊力があり、ダイナマイトの開発により、インフラの開拓や発展に多大な貢献がありました。
一方で、19世紀末から20世紀初頭にかけての不安定なヨーロッパ情勢により、ダイナマイトはその破壊力の高さから、大量生産されて兵器として使用され、多くの人々を殺害する兵器となってしまいました。
この事態にショックを受けたノーベルは、後にノーベル賞を創設することになります。
ノーベル賞誕生の経緯
アルフレッド・ノーベルが生み出した発明品の中でも、ダイナマイトは特に代表的な発明品でした。
彼はダイナマイトの開発により巨万の富を築き、「ダイナマイト王」とも呼ばれました。
ただ、ダイナマイトは元々インフラを整備するための発明品でしたが、その殺傷力の高さから、ノーベルの意に反して兵器として生産されるようになります。
人々の生活を豊かにするための発明品が兵器として生産される現状に対し、批判の声も少なくなかったと言います。
何よりノーベル自身、ダイナマイトの開発が戦争を助長してしまうという反省と後悔の念から、亡くなる前年の1895年に自身の遺言書に、「私の全財産を賞の賞金として、人々のために貢献した人へ分配してほしい」という言葉を書き記します。
こうして彼は全財産の約94％に当たる3100万スウェーデンクローナを資産として残し、彼の遺言を受けて1900年にノーベル財団が設立され、翌年の1901年からノーベル賞が授与されるようになったのです。
全6部門からなるノーベル賞
ノーベル賞は全6部門に分かれており、
- ノーベル化学賞
- ノーベル文学賞
- ノーベル医学/生理学賞
- ノーベル物理学賞
- ノーベル経済学賞
- ノーベル平和賞
がそれぞれの受賞者に授与されます。
実は、ノーベル賞は創設当初は経済学賞を除く５分野で行われていました。なぜなら、６部門あるノーベル賞の中でも、ノーベル経済学賞だけはノーベルが発案したものではないからです。
ノーベル経済学賞は、1968年にスウェーデン国立銀行が創立300年を迎えた際に、アルフレッド・ノーベルを祝う形で独自に考案された賞なのです。ノーベル経済学賞は、他の分野のノーベル賞と同様、スウェーデン王立科学アカデミーが選考を担当しています。
ただし、ノーベル経済学賞のみ、賞金の原資がノーベル財団からではなく、スウェーデン国立銀行を基金としています。名称に関しても便宜上「ノーベル経済学賞」となっていますが、正式名称は「アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞」です。
そのため、アルフレッド・ノーベルの資金から設立したノーベル財団は、ノーベル経済学賞を正式なノーベル賞として認知していないという複雑な背景もあるのです。
ノーベル賞受賞者の選考プロセス
毎年世界的な注目を集めるノーベル賞授賞式ですが、開催までの候補者選びから選考プロセスはあまり知られていません。
ノーベル賞の受賞者は各賞ごとに担当する機関が異なります。物理学賞、化学賞、経済学賞の3部門はスウェーデン王立科学アカデミーが、生理学・医学賞はカロリンスカ研究所が、文学賞はスウェーデン・アカデミーが、平和賞はノルウェーのノルウェー議会がそれぞれ選考を担当しています。
ノーベル賞の候補者選びは1年かけて行われ、最初に推薦者の招集が行われます。推薦者には過去の受賞者や大学教授など、限られた人物しか選ばれません。
推薦者から各賞300人ほど候補者が挙がり、徐々に絞り込まれていきます。最終選考まで残るのは各賞ごとに5人と言われており、最終的な候補者はアカデミー会員によって選ばれます。
ノーベル賞の受賞者は、発表日当日まで非公開です。また、選考過程や基準については、受賞から50年後に公表されるというルールがあります。
12月10日に行われるノーベル賞授賞式
ノーベル賞の授賞式は毎年、アルフレッド・ノーベルの命日である12月10日にスウェーデンのストックホルム市庁舎で開催されます。
授賞式では、各賞の受賞者にスウェーデン国王からノーベル財団から賞状と記念メダル、賞金が贈られます。
そして、ノーベル賞授与式後にはストックホルム市庁舎で受賞者や関係者のための晩餐会が開かれます。
ただし、ノーベル平和賞については例外的に、授賞式がノルウェーのオスロ市庁舎で行われます。
これはノーベルが暮らしていた当時の北欧情勢を反映したもので、ノルウェーは1814年から1905年までスウェーデンの支配下にありました。
その中でノーベルは、ノルウェーの立場に配慮し、両国の恒久的な平和を願ったため、ノーベル平和賞の授賞式をスウェーデンのストックホルムではなく、ノルウェーのオスロで行うことになったとされています。
まとめ
ここまでノーベル賞の特徴や賞が生まれた背景について紹介してきました。
スウェーデンの発明家アルフレッド・ノーベルがダイナマイトを開発したことへの後悔から生まれた現在のノーベル賞は、全6部門で構成され、毎年12月10日にスウェーデンのストックホルム市庁舎で授与式が開催されます。
ただし、ノーベル平和賞の授与式はノルウェーのオスロ市庁舎で行われます。
