ノルウェー

【アーケシュフース城】1299年に建築されたノルウェーの軍事的要所

アーケシュフース城
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ノルウェーのオスロには、1299年にオスロを守るために建てられた「アーケシュフース城」と呼ばれる要塞があります。

現在もノルウェーの軍事施設として使用されており、ノルウェーの歴史と軍事を語る上で欠かせないスポットとなっています。

今回は、アーケシュフース城の誕生の背景や観光で訪れたい場所、有名アニメのモデルになったことなどを詳しく紹介したいと思います。

アーケシュフース城の特徴

アーケシュフース城は、ノルウェーの首都オスロのピーペル湾を見下ろす丘の上に建つ中世の要塞です。

1299年に建設され、ノルウェー王ホーコン5世が、ノルウェーの行政・経済の中心である首都オスロを、スウェーデンなどの外敵の侵略から守るために建設したものです。

現在でも、このアーケシュフース城はノルウェーの軍事施設として使用されています。

アーケシュフース城の東側には、ノルウェー国防省とノルウェー国防軍本部があり、700年以上の歴史を持ちながらも現在でもノルウェーを守り続けています。

オスロの防衛を目的に建築

前述したように、アーケシュフース城は首都オスロを防衛するための要塞として計画されました。

アーケシュフース城は、1299年にノルウェー王ホーコン5世の指揮のもとに建設されました。

その背景には、1287年に当時のノルウェー貴族であったアルフ・エルドリングソンによるオスロ襲撃事件があります。

この事件でオスロの防御の脆弱性が明らかになり、急遽、アーケシュフース城の建設計画が立てられたのです。

オスロは、13世紀にはノルウェーの首都として、ノルウェーの経済と軍事の重要な中心地でもありました。

特に、ノルウェーの主要産業である海運業は中世でも重要であり、ノルウェー経済の柱でした。

そのため、重要な貿易ルートである海岸線を守るために、堅牢な要塞が必要であったのです。

17世紀には近代的な宮殿に改築

17世紀には、デンマーク王クリスチャン4世によって、ルネサンス様式の近代的な城に改築されました。

ここでデンマーク王の名前が出てくるのは、1397年にデンマーク女王マルグレーテ1世の主導で、ノルウェーがデンマーク、スウェーデンとともに「カルマル同盟」を結成したためです。

1523年にスウェーデンがカルマル同盟から脱退した後も、デンマーク・ノルウェー連合はそのまま存続しました。

しかし、カルマル同盟の崩壊は、スウェーデンとデンマーク・ノルウェー連合王国との戦争に発展します。

つまり、スウェーデンの侵攻を防ぐために、アーケシュフース城をさらに強化する必要があったため、デンマーク王クリスチャン4世が城を改築したのです。

この改修工事では、伝統的な要塞を取り除き、銃器など当時の武器に対応した近代的な要塞を追加しました。

カルマル同盟については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

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ナチス・ドイツ軍に占領されていた過去

アーケシュフース城は13世紀末に建設され、それ以来、多くの戦いの場となってきました。

近代までの数百年間、一度も落城をすることなくノルウェーの防衛を担ってきましたアーケシュフース城ですが、第二次世界大戦時にはナチスに占領されることとなります。

ナチス・ドイツの北欧侵攻によりノルウェー政府は1940年に首都オスロを放棄。アーケシュフース城もその時にナチスの支配下に置かれました。

戦時中、城はナチスによってノルウェーのレジスタンスや捕虜の処刑場として利用されました。

さらに戦争終結後はナチス側についたノルウェー国内の戦犯者の粛清が行われました。

観光名所としてのアーケシュフース城

戦争中、多くの血が流されたアーケシュフース城ですが、現在では戦争の暗い影はありません。

美しい石垣と緑の芝生が広がる、ノルウェー市民の憩いの場となっています。

丘の上に位置するアーケシュフース城は、その城壁からは、歴史あるオスロの街並みや、船が行き交う雄大な海を一望できます。

公式行事を除き、普段は一般公開されており、中世の面影を残す城内を見学できます。

例えば、宴会が行われる大広間、王室の葬儀を行う礼拝堂、ノルウェーの旧王族が埋葬されている王室霊廟などがあります。

王室霊廟には、ノルウェーの王族であるホーコン7世とその妃モード、さらにオーラヴ5世とその妃マッタが埋葬されています。

また、城内には、クリスチャン4世にまつわる中世の調度品が多数展示されており、ノルウェーの歴史を学ぶには最適の場所です。

一方で、城内には地下牢もあり、軍事要塞であった面影も残ります。優雅な内部とはまた違った角度から、アーケシュフース城の歴史を学ぶことができます。

「アナと雪の女王」のアレンデール城のモデル

ちなみに、アーケシュフース城は、2013年のディズニー映画『アナと雪の女王』に登場するアレンデール城のモデルとして有名です。

アレンデール城は、主人公のアナとエルサが住む城として、作中に何度も登場しました。

アーケシュフース城を見たとき、なぜ見覚えがあるのか不思議に思った人も多いのではないでしょうか。

『アナと雪の女王』に登場するアレンデール城のモデルということで、映画が公開されて以来、多くのディズニーファンが訪れているそうです。

まとめ

1299年の建設から7世紀以上が経過した今でも、アーケシュフース城はノルウェーの軍事において重要な役割を担っています。

ノルウェーの歴史と戦いの舞台としてだけでなく、「アナと雪の女王」のアレンデール城のモデルとしても知られ、多くの人々から愛されるランドマークとなっています。