ノルウェー発祥の妖精であるトロール。日本ではトロルという名前でも知られ、ゲームやフィクションに登場する主要なモンスターの1つとなっています。
今回は北欧ノルウェーを中心に世界中で知られるキャラクター、トロールについて詳しく解説していきたいと思います。
ノルウェーに伝わる妖精トロール

映画や小説、ゲームに至るまで数多くのファンタジー作品に登場するキャラクターである「トロール(Troll)」をご存知の人も多いと思います。
実はトロールは北欧のノルウェーが発祥であり、元々は古い伝承に伝わる妖精のことなのです。
トロールの神話や伝承はノルウェーでは子供から大人まで広く知られており、ノルウェー国民にとっては最も身近なキャラクターの1つとなっています。
例えばノルウェーの家庭では、家の中でなくしものをした時には、「トロールにいたずらされた!」と言うのだそうです。

他にも、ノルウェーには断崖絶壁に舌のように岩が突き出している、「トロルの舌」と呼ばれる世界的に有名な観光スポットもあります。
トロルの舌については、こちらの記事で紹介しています。

トロールの主な特徴

私たちが想像する「トロール(トロル)」と言えば、大きな耳と鼻、醜悪な容姿、粗暴な性格で人々に悪さをする妖怪、というイメージが一般的なのではないでしょうか。
トロールの本場ノルウェーでも、登場する媒体によって様々なタイプのトロールがいます。
ただ、ノルウェーにおけるトロールの平均的な姿としては、長く伸びた赤鼻にボロボロの服を身に纏い、毛むくじゃらの醜い容姿という、日本を比べてかなりリアルにデザインされています。

また、ノルウェーのトロールは、オーグルとも呼ばれる人食い巨人として、畑の作物を荒らしたり人々に悪さをする存在としても知られています。
その一方で、気に入った人間に対しては財産を与えるといった、ポジティブな一面も同時に持ち合わせているようです。
トロールは北欧の国や地域ごとに設定が異なる

北欧の伝承において、トロールの容姿や性格、逸話などの設定は一定ではありません。
古い伝承に忠実に則った醜い毛むくじゃらのデザインから、『アナと雪の女王』と言ったディズニー映画に登場するような子供向けに可愛くデフォルメされたものまで、様々なタイプのトロールが存在しています。

ノルウェーの伝承に端を発するトロールは、時代を経るごとにスカンジナヴィア半島各地に広がっていきました。
そうして様々な国や地域に伝わったトロールは、まるで日本の方言のように容姿や性格といった設定も様々な形に枝分かれしていったのです。
例えば、名称も地域によって若干異なっています。
ノルウェーのトロールをはじめ、トロルドやトラウ、日本でも馴染みある名前のトロルなど、多種多様な名前がつけられています。
今やファンタジーの世界には欠かせない存在

ノルウェーに伝わる妖精が起源となっているトロールですが、現代では主にファンタジー系の物語に登場するモンスターとして知られています。
その知名度は北欧諸国のみならず、日本をはじめアジアやローヨッパまで広まっています。
日本の場合、トロールは短く「トロル」と表記されることが多いようです。
そして日本で一般的なファンタジー作品の中でも、トロール(トロル)は欠かすことができない有名なキャラクターとなっています。
代表的な作品として、J・K・ローリング作のハリーポッターシリーズ、ドラゴンクエストシリーズでも布切れと棍棒を装備した大型モンスター「トロル」として登場しています。
このように映画や小説、ゲームでも、トロールは敵キャラクターとしてあらゆる作品に描かれているのです。
また、日本のジブリ映画『となりのトトロ』に出てくる『トトロ』も、実はノルウェーのトロールが元ネタなのは有名です。
さらに、フィンランド出身の作家トーベ・ヤンソンの『ムーミン』でも、主人公のムーミンの正式名称はムーミントロールとなっています。

つまり『ムーミン』も、ノルウェーで一般的に伝わるトロールとはデザインは大きく異なるものの、同じくトロールが原型となっているのです。
まとめ

北欧ノルウェーに伝わるトロールは、妖精よりも妖怪と言った方がしっくりくるような、お世辞にも可愛らしい見た目とは言えないかもしれません。
しかし実際には、マグカップやTシャツ、お土産用の置物として数多くお店で販売されているほど、ノルウェーでは愛されている存在なのです。
