スウェーデン語の非制限用法|役割と用法解説

スウェーデン語の関係節は、名詞に情報を付け加える役割を持っています。
その中でも「非制限用法」は、名詞を限定するのではなく、追加的に説明を加える場合に使われます。日本語では「〜である、その…」「〜であるが…」といった形で訳されることが多いです。
今回はスウェーデン語の非制限用法について、制限用法と比較しながら詳しく解説していきます。
1. 制限用法と非制限用法の違い
スウェーデン語の関係節には、大きく分けて制限用法と非制限用法があります。
- 制限用法:ある名詞を「どれか特定する」ために必要な情報を加える
- 非制限用法:名詞を特定するためではなく、「追加説明」として情報を添える
日本語にすると、制限用法は「〜している人」、非制限用法は「〜している、その人」というように違いが出ます。
次に、例文を通して両者を比較してみます。
制限用法(先行詞を限定する)
- Studenten som sitter där borta heter Anna.
(あそこに座っている学生がアンナという名前です)
関係代名詞 som を用いて、「どの学生か」を特定しています。この関係節がなければ、誰のことを言っているのか分かりません。
非制限用法(先行詞を補足説明する)
- Anna, som sitter där borta, är min vän.
(アンナは、あそこに座っているのですが、私の友人です)
ここでは「アンナ」がすでに特定されており、関係節は「補足情報」として加えられています。関係節を取っても「アンナは私の友人です」という文として成立します。
このように、非制限用法は情報の付け足しとして使われ、文全体の理解を助ける役割を果たします。
2. 非制限用法の作り方
2-1. コンマで区切る
スウェーデン語では非制限用法の関係節は、コンマ(,)で前の名詞と区切られます。
- Min bror, som bor i Uppsala, studerar medicin.
(私の兄は、ウプサラに住んでいるのですが、医学を勉強しています)
このコンマがあることで、聞き手や読み手は「これは限定ではなく補足だな」と判断できます。
2-2. 関係代名詞の使い方
非制限用法でも関係代名詞 som が最も一般的に使われます。書き言葉やフォーマルな文章では、vilken/vilket/vilka を使うこともあります。
- Stockholm, vilken är Sveriges huvudstad, har många sevärdheter.
(ストックホルムは、スウェーデンの首都であり、多くの見どころがあります)
基本的には som が使われることが多く、vilken は「論文」「新聞記事」「公式文書」などで使われます。
3. 非制限用法の特徴と注意点
3-1. 関係節を取っても意味が通じる
非制限用法の関係節はあくまで「補足情報」なので、なくても文は成立します。
- Karin, som är min granne, jobbar som läkare.
(カリンは、私の隣人ですが、医者として働いています)
som〜以下の関係節を取っても、“Karin jobbar som läkare.” だけで意味は通ります。
3-2. 制限用法との使い分けに注意
制限用法と非制限用法を間違えると、意味が大きく変わってしまいます。
- 制限用法
例:Den man som står vid dörren är min lärare.
(ドアのそばに立っている男性が私の先生です)
制限用法では、man(男性)を特定するために関係節が必須となります。
- 非制限用法
例:Min lärare, som står vid dörren, väntar på oss.
(私の先生は、ドアのそばに立っているのですが、私たちを待っています)
非制限用法の場合、Min lärare(私の先生)という主語はすでに特定済みです。
そのため、関係節は補足説明として用いられます。
4. まとめ
- 非制限用法は、名詞を限定するのではなく「補足情報」を加える関係節です。
- コンマ(,)で区切るのがルールです。
- 会話では som が中心。フォーマルな文では vilken/vilket/vilka も使われます。
- 非制限用法は関係節を取っても文は成立するのが、制限用法との大きな違いです。
- 制限用法と混同しないように注意しましょう。