【スウェーデン語文法#41】不定代名詞 man

スウェーデン語には、不定代名詞 man という特別な代名詞があります。
これは特定の誰かを指すのではなく、「人は〜する」「〜されるものだ」というように、一般的な人々や不特定多数を表すときに使います。
このレッスンでは、スウェーデン語の不定代名詞 man の意味と使い方、文法上の特徴を解説します。
1. man の意味とニュアンス
不定代名詞 man は、誰か特定の人物を指すのではなく、「一般的にそうする人」「世間一般で行われること」を表します。
英語の one、文脈によっては you に相当し、日本語では「人は〜するものだ」や「一般的には〜だ」という形で訳されます。
- Man måste äta för att leva.
(人は生きるために食べなければならない) - I Sverige äter man mycket sill.
(スウェーデンではニシンをよく食べる)
このように、man は主語をあえて曖昧にして、聞き手に特定の人物を連想させない表現が可能です。
2. man は常に三人称単数扱い
不定代名詞 man は、その意味が「不特定多数」や「一般的意見」を表していても、文法的には常に三人称単数として扱われます。
そのため、動詞の活用も三人称単数形を用います。
- Man är glad när solen skiner.(太陽が出ていると人は嬉しい)
3. man の格変化
主語としては man を使いますが、目的語や所有を表す場合は形が変わります。
役割 | 形 | 用例 |
---|---|---|
主語(主格) | man | Man vet aldrig vad som händer. (何が起こるかわからないものだ) |
目的語(目的格) | en | Det känner man igen. (それは人がわかる) |
所有(所有格) | ens | Det är viktigt att ta hand om ens hälsa.(自分の健康を大事にすることは重要だ) |
ただ、ens はやや書き言葉的で、一般的には再帰代名詞の所有格 sin / sitt / sina が使われることが多いです。
例えば「自分の健康」という場合、“sin hälsa”とするのが自然です。
4. man が使われる場面
man は幅広い場面で使われますが、特に「一般的な意見」や「習慣」などを述べるときに多用されます。
4-1. 習慣・文化の説明
特定の国や地域の習慣を説明するとき、man を主語として使うことができます。
- I Japan tar man av sig skorna innan man går in i huset.
(日本では家に入る前に靴を脱ぐ)
4-2. 一般的な意見・アドバイス
man は一般論として助言する場合にも多用されます。
- Man bör dricka tillräckligt med vatten varje dag.
(人は毎日十分な水を飲むべきだ)
4-3. 不特定の主語(受け身的な意味を含む)
発言の主をぼかしたいとき、あるいは主語が誰か分からないときにも使われます。
- Man säger att vädret blir bättre imorgon.
(明日は天気が良くなると言われている)
man を使った文は、基本的には「人々が〜する」という能動的な意味となります。
一方で、「〜と言われている」「〜とされている」のように、受け身の文(bli + 過去分詞)に意味が近くなる場合もあります。
5. まとめ
- man は「人は〜」「〜するものだ」という意味を持つ不定代名詞です。
- 常に三人称単数形で動詞を活用します。
- 主語 man / 目的語 en / 所有 ens(口語では sin 系が多い)。
- 習慣・一般論・不特定主語の表現に頻出する。