【スウェーデン語文法#33】再帰代名詞と再帰動詞

スウェーデン語では、「自分自身に対して動作を行う」という表現が多く登場します。たとえば「顔を洗う」「服を着る」「座る」など、すべて自分自身に向かって何かをする動作です。
こうした場面では、「再帰代名詞」と呼ばれる語を使って、その動作が主語自身に向けられていることを明確にします。
この再帰代名詞と一緒に使われる動詞は「再帰動詞」と呼ばれ、スウェーデン語の中で重要な役割を果たします。
今回のレッスンでは、スウェーデン語の再帰代名詞と再帰動詞について、文法ルールや使い方などを解説します。
1. 再帰代名詞:主語と同じ対象を指す代名詞
スウェーデン語における「再帰」とは、動作の主体(主語)が、その動作の受け手(目的語)でもあるという関係を指します。
つまり、再帰は自分に対して動作を行う場合に使われる表現です。
そして再帰代名詞は、動作の対象が主語自身であることを示すために使います。英語の myself, yourself, himself に相当します。
スウェーデン語の再帰代名詞は、主語の人称に応じて次のように変化します。3人称単数・複数では sig が共通して使われます。
主語 | 再帰代名詞 |
---|---|
jag(私) | mig [メイ] |
du(君) | dig [デイ] |
han / hon / den / det(彼/彼女/それ) | sig [セイ] |
vi(私たち) | oss [オス] |
ni(あなたたち) | er [エル] |
de(彼ら/彼女ら) | sig [セイ] |
2. 再帰動詞:再帰代名詞とペアで使う動詞
再帰動詞とは、動詞のあとに再帰代名詞を伴って「自分自身に〜する」動作を表す動詞です。英語では wash oneself(自分自身を洗う)などに相当します。
また、スウェーデン語の再帰動詞は、辞書で「att + 不定形 + sig」の形で載っていることが多く、動詞の意味を「自分に〜する」と解釈することがポイントです。
主な再帰動詞
再帰動詞 | 意味 | 使用例 |
---|---|---|
tvätta sig | 洗う | Hon tvättar sig varje morgon.(彼女は毎朝洗顔します) |
lägga sig | 横になる・寝る | Jag lägger mig klockan tio.(私は10時に寝ます) |
klä på sig | 服を着る | Barnet klär på sig själv.(その子どもは自分で服を着ます) |
sätta sig | 座る | Var snäll och sätt dig.(どうぞ座ってください) |
kamma sig | 髪をとかす | Han kammar sig framför spegeln.(彼は鏡の前で髪をとかします) |
känna sig | ~だと感じる | Jag känner mig trött.(私は疲れていると感じます) |
3. 再帰動詞の活用
再帰動詞を文で使うときは、主語の人称に合わせて再帰代名詞を活用させます。
以下は tvätta sig(自分を洗う)の現在形の活用例です。
主語 | 動詞 + 再帰代名詞 | 日本語訳 |
---|---|---|
jag | tvättar mig | 私は体を洗います |
du | tvättar dig | あなたは体を洗います |
han / hon | tvättar sig | 彼/彼女は体を洗います |
vi | tvättar oss | 私たちは体を洗います |
ni | tvättar er | あなたたちは体を洗います |
de | tvättar sig | 彼ら/彼女らは体を洗います |
このように、動詞の活用自体は変わりませんが、再帰代名詞が主語に合わせて変化する点が重要です。
動作の意味と主語の関係を明確にするのが、再帰動詞および再帰代名詞の目的です。
4. 再帰代名詞の有無でニュアンスが変化する例
いくつかの動詞は、再帰代名詞を使うかどうかで意味が大きく変化します。
これはスウェーデン語の大きな特徴であり、文脈に注意する必要があります。
動詞 | 意味(非再帰) | 意味(再帰) |
---|---|---|
sätta | 置く | 座る(sätta sig) |
lägga | 置く、横たえる | 横になる(lägga sig) |
känna | 感じる、知っている | 自分が〜と感じる(känna sig) |
5. 再帰代名詞の語順
再帰動詞の文の語順は、基本的には「主語 + 動詞 + 再帰代名詞 + その他」となります。
- Jag sätter mig på stolen.(私は椅子に座ります)
- Vi lägger oss tidigt.(私たちは早く寝ます)
疑問文では語順が変わり、「動詞 + 主語 + 再帰代名詞 + その他 ?」となります。また、否定文の場合は、inte が再帰代名詞の後に置かれます。
- Sätter du dig här?(ここに座りますか?)
- Jag sätter mig inte där.(私はそこには座りません)
再帰動詞を使う際は、語順や再帰代名詞の位置に注意しましょう。
6. まとめ
- 再帰代名詞は「主語=動作の対象」であるときに使います。
- 再帰動詞は、「自分に〜する」動作を表す特別な動詞です。
- 主語に応じて再帰代名詞を正しく変化させることが重要です。
- よく使われる再帰動詞には、「洗う」「座る」「服を着る」「横になる」などがあり、日常生活に密接に関わっています。
- 再帰代名詞があるかないかで意味が変わる動詞もあるため、セットで覚えるようにしましょう。
- 語順にも注意し、「主語+動詞+再帰代名詞」という構造を身につけましょう。