【スウェーデン語文法#29】現在完了形(har + 完了分詞)

スウェーデン語の現在完了形は、過去に起こったことが現在に何らかの影響を与えているときに使われます。
英語の現在完了形(have+過去分詞) にあたる文法で、「〜したところだ」「これまでに〜したことがある」といった表現に役立ちます。
このレッスンでは、スウェーデン語の現在完了形の作り方、使い方のパターンを解説します。
1. 現在完了形の構造:助動詞 har + 完了分詞
スウェーデン語の現在完了形は、「過去に起きたことが、現在に影響を与えている」ことを表すときに使われます。
現在完了形は、以下のような構造になります。
【現在完了形】主語 + 助動詞 har + 動詞の完了分詞
助動詞 har は、「持つ」を意味する動詞 ha の現在形です。
スウェーデン語の現在完了形(har + 完了分詞)は、英語の現在完了形(have + 過去分詞)とよく似ています。
一方で、スウェーデン語の現在完了形はすべての主語に対して「har」を使うため、英語のように人称ごとに「has」や「have」に分ける必要はありません。
2. 完了分詞の作り方
スウェーデン語の現在完了形で使うのは完了分詞(supinum)です。
完了分詞の基本形は、「動詞の語幹 + -t」となります。ただ、動詞の種類によって作り方が異なり、おおまかに以下のようなパターンに分けられます。
活用の種類 | 原形 | 完了分詞 | 完了分詞の作り方 |
---|---|---|---|
第1活用(規則) | prata(話す) | pratat | 語幹 + -t |
第2活用A(語幹が無声子音で終わる) | köpa(買う) | köpt | 語幹 + -t |
第2活用B(語幹が有声子音で終わる) | leva(生きる) | levt | 語幹 + -t |
第3活用(a 以外の母音で終わる) | bo(住む) | bott | 語幹 + – tt |
第4活用(不規則) | skriva(書く) | skrivit | 完全に不規則、要暗記 |
規則動詞の場合
多くの規則動詞は、「語幹 + -t(-tt)」をつけて完了分詞を作ります。
- prata(話す)→ har pratat
- öppna(開ける)→ har öppnat
- köra(運転する)→ har kört
不規則動詞の場合
不規則動詞は完了分詞の形も不規則で、丸ごと覚える必要があります。
- gå(行く)→ har gått
- se(見る)→ har sett
- skriva(書く)→ har skrivit
- komma(来る)→ har kommit
- vara(〜である)→ har varit
3. いつ現在完了形を使うのか?
スウェーデン語で現在完了形が使われる場面は、大きく分けて次の3つです。
3-1. 経験:これまでに〜したことがある
- Jag har varit i Japan.
(私は日本に行ったことがあります) - Har du ätit surströmming?
(あなたはシュールストレミングを食べたことがありますか?)
「経験」を表す場合は、日本語でも「〜したことがある」と訳されることが多く、英語と用法が似ています。
3-2. 完了:すでに〜した
- Jag har redan ätit.(私はもう食べました)
- Han har just gått ut.(彼はちょうど出かけたところです)
このように、redan(すでに)、just(ちょうど)などの副詞とともに使うと、何かが「完了した」ことを強調できます。
3-3. 継続:ずっと〜している
- Vi har bott här i tre år.
(私たちはここに3年間住んでいます) - Hon har jobbat på det företaget länge.
(彼女はその会社で長く働いています)
現在完了形は、「〜してきた/〜し続けている」という意味合いでも使われます。
4. 疑問文と否定文の作り方
4-1. 疑問文:Har + 主語 + 完了分詞 〜?
Yes / No で答えられる疑問文を作る際は、助動詞 har を文頭に出して「Har + 主語 + 完了分詞 〜?」の語順にします。
- Har du varit i Sverige?
(あなたはスウェーデンに行ったことがありますか?) - Har ni sett filmen?
(あなたたちはその映画を見ましたか?)
4-2. 否定文:主語 + har + inte + 完了分詞
否定文では、否定語 inte を 助動詞 har の直後に置きます。
- Jag har inte ätit.(私は食べていません)
- Hon har inte varit där.(彼女はそこに行ったことがありません)
inte の位置は固定で、har と完了分詞の間に入ります。
4-3. 否定疑問文:Har + 主語 + inte + 完了分詞
「〜していませんか?」といった否定疑問文の形も作れます。語順は「Har + 主語 + inte + 完了分詞」となります。
- Har du inte varit där?(あなたはそこに行ったことがないのですか?)
否定疑問文の質問に対しては、スウェーデン語では次のように答えます。
答えたい内容 | スウェーデン語の答え方 |
---|---|
いいえ、行っていません | Nej, jag har inte varit där. |
いいえ、行きました(=否定を否定する) | Jo, jag har varit där. |
5. まとめ
- 現在完了形は「助動詞 har+完了分詞」の形で作られます。
- 「〜したことがある」「〜してきた」「〜したところだ」など、過去と現在のつながりを表します。
- 不規則動詞の完了分詞は、少しずつ慣れながら覚えるのがコツです。
- 用法は「経験」「完了」「継続」の3つが中心です。
- 否定文の場合、harの直後に否定語 inte を置きます。