アイスランドの中心地であるレイキャビクには、独特な形状をしたオブジェが設置されています。
この作品は「サンボイジャー」と呼ばれ、北欧の海賊であったヴァイキングが航海時に使用していた軍船をモチーフにしたものです。
今回はレイキャビクで有名なオブジェであるサンボイジャーについて、作品の詳しい特徴やヴァイキング船に関する知識を紹介していきます。
サンボイジャーの特徴
アイスランド最大の都市であるレイキャビクには、「サンボイジャー」というユニークな形状をしたオブジェが設置されています。
サンボイジャーは、アイスランド出身の芸術家ヨン・グンナル・アルナソン氏によって製作され、ステンレス鋼で作られています。また、作品下の台には花崗岩が使用されています。
この彫刻作品の名称である「サンボイジャー」という言葉は、「太陽の航海者」を意味し、太陽に向けた賛歌や、未知への探求や希望、自由をテーマにしています。
アイスランドの荘厳なファクサ湾を背景に、非常に荘厳で洗練された佇まいを感じさせるサンボイジャーは、船の骨組みを思わせる無骨なデザインが特徴です。
実は、この作品は中世の北欧諸国を席巻した海賊ヴァイキングが使用したヴァイキング船を参考にして作られたものなのです。
彫刻のモチーフとなったヴァイキング船とは?
ヴァイキングとは、北欧の代名詞とも言えるほど有名な海賊達のことで、彼らは8世紀〜11世紀にかけて北欧をはじめとする北ヨーロッパ一帯を侵略しました。
サンボイジャーのモチーフとなったヴァイキングの船は、ヴァイキング・シップとも呼ばれ、龍を模した船首が特徴です。
また、船の骨組みとなるしなやかな竜骨に、両舷には人力で推進力を生み出すためのオールも設置されています。
このヴァイキング船の細長い形状は、海を高速で移動することが重視されています。一方で細く軽量な造りでありながらも船の耐久性は高く、長期にわたる航海や戦闘にも耐えうる堅牢さも併せ持ちました。
ヴァイキング船の構造を強固にしたのが「鎧張り」と呼ばれる建築技法です。鎧張りとは軽くて丈夫なオーク材を重ね貼りする手法であり、この造船技術によってヴァイキング船の特徴である俊敏性と耐久性が生まれたのです。
サンボイジャーが完成するまでの経緯
レイキャビクのSæbraut道路沿いに設置されたサンボイジャーは、1990年9月にお披露目されました。
完成までの経緯としては、1986年に開催されたレイキャビク創設200周年を記念する彫刻のコンテストで、サンボイジャーの案が選ばれます。
提出された小型の試作品をベースに、フルサイズの作品が製作されました。 製作は、アルナソン氏の助手であった芸術家クリスティン・E・フラフソン氏の指導の下進められ、完成まで4年を要しました。 サンボイジャーは、1989年に亡くなったアルナソン氏の遺作でもあります。
30年以上経った今でも、サンボイジャーはレイキャビクの名所として多くの観光客に愛されています。
まとめ
サンボイジャーは、アイスランドのレイキャビクにあり、北欧の海賊ヴァイキングの船をモチーフにしたオブジェです。
無駄な装飾がないスタイリッシュなボディは、引き込まれるような美しさがあります。
レイキャビクの街並みとも見事に調和し、街を代表する彫刻作品の1つです。