スウェーデン第3の都市マルメにある高層ビル、ターニング・トルソ。2005年にスペイン人建築家によって建てられた建物で、ぐるりとねじれるようにそびえ立つ変わったデザインが話題となっています。
ここではターニング・トルソについて、その最大の特徴であるねじれ型デザインからビル内部の構造、建築の背景などを紹介していきます。
マルメの観光スポット、スウェーデンの建築・デザインに興味がある人は、是非読んでみてください。
北欧最大の高層ビル、ターニング・トルソ

スウェーデンの南端部にはマルメという、隣国デンマークとも目と鼻の先にあるスウェーデン第三の都市があります。
マルメには都市のシンボルとも言える超高層ビルが立っており、それが今回紹介する「ターニング・トルソ」です。
ターニング・トルソはマルメ西部のヴェストラ・ハムネンと呼ばれる再開発地区にあり、マルメ市内では高級マンションに分類されます
2005年8月27日にマルメで誕生したターニング・トルソは全長193m、全54階からなる建物です。
その高さはマルメ市街随一なのはもちろんのこと、スカンジナビア諸島の中でも最大の高さを誇っています。

ターニング・トルソは白色を基調とした、近代的でスタイリッシュな外観となっています。
特に目を引くのが、直方体型のビルが上空に向かってねじれるように立つユニークなデザインです。
このデザインについては後ほど詳しく解説しますが、この独自のデザインも、ターニング・トルソが世界的に有名になった大きなポイントなのは間違いありません。
建物の1階から10階までは企業のオフィススペースとなっています。
また、53階と最上階の54階は会議室として利用されています。
マルメ市街や海を一望しながらの会議は、非常に捗りそうですね。
一方、11階から54階は市民が暮らす居住フロアで、その数は全147部屋です。
気になるのが部屋の様子ですが、住人が現在も住んでいるということで、残念ながらビル内部は基本的に公開はされていないようです。
スウェーデン南端の都市マルメの概要

ターニング・トルソがあるスウェーデンのマルメという都市は、首都のストックホルムや他の街と比べて、日本ではあまり聞かない名前かもしれません。
ここではマルメがどのような街なのかを解説していきます。
まず、マルメはスウェーデンのスコーネ県、その最南端に位置する都市です。
実はスウェーデンにおいてマルメは、首都ストックホルム、そしてヨーテボリに次ぐ第3の規模を誇る都市でもあります。
雄大な海を望む港街でもあり、オーレスンド海峡を挟んだ対岸は隣国デンマークとなっています。
2000年にはデンマークとの間にオーレスン・リンク、もしくはエーレスンド・ブリッジと呼ばれる橋がかけられ、デンマークから車や鉄道でマルメにアクセスできるようになりました。

さらにオーレスン・リンクを舞台にした『THE BRIDGE/ブリッジ』という北欧のドラマもあるので、こちらもチェックしてみてください。
またマルメは、マルメ城やレンガ造りの街並みといった、中世の建築物が数多く残るスポットでもあります。
第二次世界大戦においてスウェーデンはスイスと共に中立国の立場をとり、戦争の戦禍にほとんど巻き込まれなかったため、マルメには昔ながらの街並みがそのままの形で残っているのです。

また、歴史的な景観が立ち並ぶ一方で、ターニング・トルソが建つマルメ西部の再開発地区のように、近年著しい発展を遂げているエリアも併存しています。
ねじれるように立つデザインが特徴

ターニング・トルソは北欧一の高さもそうですが、何より特徴的なのがビルのデザインです。
先ほども少し取り上げましたが、ターニング・トルソは他の直方体型のビルとは一線を画す、上空に向かって時計回りにねじれるような独特なデザインが施されています。
ターニング・トルソの設計として、5階ごとに構成されたブロックを1単位として、全9ブロック積み重なってできています。
そして上層階に行くに従ってブロックの上下が徐々にねじれていく設計で、1階から最上階まで最大で90度のねじれとなっています。
建物の設計には、キネティック・アーキテクチャという建築技術が使われています。
キネティック・アーキテクチャとは建物の見た目に視覚的な動きをつける動的構造が特徴で、20世紀後半にテクノロジーの進歩により実用化が可能となった技術でもあります。
この造形美は国内外から高い評価も得ており、2015年8月には高層ビルの運営や設計に携わる国際NPO「高層ビル・都市移住協議会(CTBUH)からも表彰されました。
スペインの建築家サンティアゴ・カラトラヴァ氏が設計
ターニング・トルソを手がけたのが、スペイン出身の建築家であるサンティアゴ・カラトラヴァという人物です。
1951年にスペインで生まれたサンティアゴ氏は、建築家として主に駅などの公共施設の設計に携わっていました。
有名な建築物では、例えば2004年に開催されたアテネオリンピックのスタジアムの設計も彼の手によるものです。
では、サンティアゴ・カラトラヴァ氏がターニング・トルソを建築したきっかけは一体なんだったのでしょうか。
マルメは、かつては造船業が盛んな工業都市として栄えていました。
しかし1970年代に入ると人件費の安い日本や中国の台頭によって、マルメの造船業は徐々に衰退していくこととなります。
この状況を受けてマルメ市は街の景気復興事業として隣国デンマークとの間に橋をかける計画を立案し、担当建築家をコンペで募集します。
そしてサンティアゴ・カラトラヴァ氏も、このコンペに手を挙げた1人でした。
ただ、残念ながらサンティアゴ氏は橋のコンペには落選してしまいます。
しかし、サンティアゴ氏が事前に提出したデザイン案に感銘を受けたマルメ市は、橋とは別に彼に新しい建物のデザインを依頼しました。
そのような経緯で誕生したのが、現在ではマルメのシンボルマークとなっているターニング・トルソなのです。
まとめ

ここまでスウェーデンの都市マルメに位置する高層ビル、ターニング・トルソについて紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
スペインの建築家サンティアゴ・カラトラヴァ氏が設計した北欧最大の高層ビルは、マルメのランドマーク的な建築物として、大勢の人が写真に納めようと訪れる名スポットとなっています。
スウェーデン観光の目玉としてはもちろん、マルメはデンマークから鉄道で約30分の距離にあるため、デンマーク観光の合間に日帰りで向かうこともできますよ。
是非、北欧旅行のプランに加えてみてはいかがでしょうか。
