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【スウェーデン語文法#21】前置定冠詞の使い方

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春乃
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スウェーデン語では、名詞の後ろに定冠詞が付く後置定冠詞という特徴があります。たとえば「本」は「bok」、「その本」は「boken」となります。

しかし、形容詞を伴う場合など、一部の文では「den」や「det」などの定冠詞が名詞の前に置かれることがあります。これを「前置定冠詞」と呼びます。

このレッスンでは、前置定冠詞の使い方、後置定冠詞との違い、使い分けのルールを解説します。

1. 前置定冠詞と後置定冠詞の違い

スウェーデン語では、「その本」「その家」といった“特定のもの”を指すとき、名詞の語尾に定冠詞をつける後置定冠詞が使われます。

  • bok(本) → boken(その本)
  • hus(家) → huset(その家)

これは英語の「the book」のように名詞の前に冠詞を置く方法とは異なり、スウェーデン語の大きな特徴です。

しかし、名詞に形容詞がつくときは話が変わります。たとえば「その新しい本」と言いたいとき、形容詞 ny(新しい) が bok に付くと、次のような語順になります。

  • bok(本) → den nya boken(その新しい本)

このように、形容詞が付くときには前に定冠詞を追加する必要があります。

れは、話し手が「特定の新しい本」を示していることを明確にするために必要な構造です。

2. 前置定冠詞の形と使い分け

スウェーデン語の名詞には「共性名詞」と「中性」という2つの性があり、前置定冠詞の形は名詞の性と数(単数/複数)に応じて変化します。

  • den:共性・単数の名詞(例:en bok → den nya boken)
  • det:中性・単数の名詞(例:ett hus → det nya huset)
  • de:複数名詞(性に関係なく使用。例:de gamla böckerna)

この前置定冠詞は、形容詞が名詞を修飾する場合にのみ使用されます。形容詞がないときは、前置定冠詞は使いません。

3. 前置定冠詞の使用法

前置定冠詞が使われる文の基本構造は次のとおりです。

前置定冠詞(den/det/de)+形容詞(a語尾)+名詞(後置定冠詞付き)

例えば、前置定冠詞を使った文章は以下のようになります。

  • den röda bilen(その赤い車)
  • det stora huset(その大きな家)
  • de gamla vännerna(その古い友人たち)

このように、形容詞が名詞の前にあるときには、冠詞が2つ必要になる(前置と後置)のが特徴です。

日本語や英語に慣れている学習者にとっては、少し不自然に感じられるかもしれませんが、スウェーデン語ではこの形が正しい文の形です。

4. 形容詞の語尾変化

スウェーデン語では形容詞の語尾も、名詞の性と数によって変化します。

ただし、前置定冠詞を伴う文では形容詞は必ず「-a」で終わる形になります。

  • en bok(共性・単数)→ den gamla boken
  • ett hus(中性・単数)→ det gamla huset
  • flera vänner(複数)→ de gamla vännerna

つまり、形容詞の性による語尾変化は、定冠詞がつく文では一律に「-a」になると覚えてしまえば、むしろシンプルです。

5. 前置定冠詞が必要な理由と注意点

形容詞が名詞を修飾するときに前置定冠詞が必要になる理由は、形容詞と名詞の両方が一体となって1つの「特定の対象」を指す表現になるためです。

  • boken(その本)→ 特定の「本」だけを指す
  • den nya boken(その新しい本)→ 特定の「新しい本」を明確に指す

そのため、形容詞があっても前置定冠詞を使わなかったり、名詞に後置定冠詞がないと、文として不自然になります。

6. 実用的な例と構造の理解

スウェーデン語日本語訳解説
Den långa filmen var tråkig.その長い映画は退屈だった。den(前置)+långa(形容詞)+filmen(後置)
Det vita huset är vackert.その白い家は美しい。det(前置)+vita(形容詞)+huset(後置)
De nya skorna är bekväma.その新しい靴は履き心地が良い。de(前置)+nya(形容詞)+skorna(後置)

これらの文を見ても分かるように、形容詞が加わるだけで冠詞の使い方が変わり、語順も整える必要があります。

7. まとめ

  • スウェーデン語では、名詞に形容詞が付くとき、den / det / de という前置定冠詞が必要になります。
  • 名詞には後置定冠詞(-en / -et / -na)も付きます。つまり、前置と後置の両方を使うのが特徴です。
  • 形容詞の語尾は「-a」で統一され、性や数による変化はありません。
  • このルールは、特定の名詞+形容詞の組み合わせを明確に表すために必要不可欠です。
  • 初学者が混乱しやすいポイントなので、「形容詞があると前に冠詞が出てくる」と意識しておくとよいでしょう。
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