フィンランドのヘルシンキにあるテンペリアウキオ教会は、北欧に数ある教会の中でもその独自さで有名です。
巨大な岩石をくり抜いた空間に教会を設置した、自然と建築が一体となった教会なのです。
そこで今回は洞窟の中で過ごしているような、フィンランドのテンペリアウキオ教会について紹介します。
テンペリアウキオ教会の特徴

テンペリアウキオ教会はフィンランドの首都ヘルシンキ市内にあり、福音ルター派に属するキリスト系の教会です。
こちらは数ある教会の中でも群を抜いて特殊な構造としており、自然の岩石をくり抜いた空間に教会が建築されています。
岩盤は氷河期の時代まで遡るほど古く、教会はその地下空間にあります。
岩石を掘削して生まれた教会内部は、半球体型のドーム型空間となります。さながら、洞窟の中で過ごしているような雰囲気です。
このダイナミックな構造から、別名「岩の教会(ロックチャーチ)」とも呼ばれています。
このようにテンペリアウキオ教会は天然の岩石と人工の教会建築が融合した、フィンランドでも極めて独創的な教会なのです。
教会が建築された経緯
テンペリアウキオ教会の設計を担当したのは、フィンランドの建築家で兄弟でもあったティオ・スオマライネン氏&トゥオモ・スオマライネン氏です。
彼らは1961年に開催された建築デザインの競技会でグランプリを獲得し、その後工事に着手。そして1969年にテンペリアウキオ教会は完成を迎えました。
ちなみに、1930年代には一度他の教会の建築計画は立案されていました。
しかし第二次世界大戦により建築プロジェクトは中止。その後1960年代に再度教会の建築案が浮上し、それに選ばれたのがテンペリアウキオ教会だったのです。
岩肌が剥き出しの内部空間

教会のエントランスは地上部にあり、岩山と一体となった独自のデザインをしています。
そして入口から岩肌が剥き出しの荒々しい通路を進むと、開放感ある教会空間が出迎えてくれます。
設備は花崗岩でできた祭壇に黄金のパイプオルガン、そして来訪者が座る長椅子が並びます。
教会の内装で最も目を引くのは、天井に設置された銅製のプレート、それを中心に放射線状に広がるガラス製の支柱でしょう。

銅板は直径24mにも及ぶ巨大な作りです。ガラス製の梁の隙間からは自然光が差し込み、教会内を神々しく照らします。
壁にも岩肌が剥き出しの状態で残され、教会全体が別世界のような雰囲気となっています。
高い音響効果を活かしたコンサートも開催
岩盤を削って作られた教会の内壁は、実は優れた音響効果も有しています。
岩壁が塗装されず掘削面があえて剥き出しなのも、音の反響を意識したからです。
テンペリアウキオ教会内部は、いわば天然の音響施設のようなもの。
普段は教会の空間は礼拝や結婚式の場として利用されますが、時にはその構造的特徴を活かして、コンサートホールとしても使われています。
まとめ
テンペリアウキオ教会は、岩石を掘削してできた半円形の空間に礼拝堂が存在する極めて独創的な教会です。
教会が誕生したのは1969年、フィンランドの建築家ティオ・スオマライネン&トゥオモ・スオマライネン兄弟によって建築されました。
フィンランドのヘルシンキ中央駅から徒歩15分という好アクセスな立地もあり、毎年多くの参礼者や観光客が訪れるスポットとなっています。