スウェーデンの首都ストックホルムから少し移動したスターズホルメン島という場所に、ガムラスタンという名前の旧市街があります。
13世紀の中世ヨーロッパ時代に設計されたエリアで、現在でも当時の街並みを見ることができる名所となっています。
今回はスウェーデンにとって歴史的価値も高いエリアである旧市街地、ガムラスタンについて解説していきます。
ストックホルムの旧市街地であるガムラスタン

ガムラスタンは、13世紀の設計当時の古い街並みが今なお残る、スウェーデンの首都ストックホルムの旧市街です。
ガムラスタン(Gamla Stan)という名称は、スウェーデン語で「古い街」を意味しています。
また、これは古い呼び方なのですが、「橋の間の都市」を意味する「Staden mellan broarna」という名前でも呼ばれることがあるそうです。
ガムラスタンは大小14の島々からなる、スターズホルメン島という地域にあります。

島といっても私たちがイメージするような規模ではなく、半日から1日あれば徒歩で廻れるほどの広さしかありません。
ストックホルム中心街からも徒歩で移動できるほどアクセスも良いので、ガムラスタンはスウェーデンでも有名な観光スポットとして人気のエリアでもあるのです。
「北欧のベニス」と言われるほど美しい光景が広がるストックホルムにおいて、その1画であるガムラスタンも所々に中世の面影を感じられます。
ガムラスタンの市街地には重厚な石畳が敷き詰められ、加えて絵本に登場するような美しい建物が並ぶ光景も息を飲むほどの美しさ。
まるで物語の中でお馴染みの中世ヨーロッパの世界にタイムスリップしたかのような感覚になるそうです。

歴史と格式ある雰囲気に街全体が満ちた、「古い街」を意味するガムラスタンの光景は、まさに名は体を表すという言葉を体現していますね。
ちなみに、ガムラスタンはジブリ映画「魔女の宅急便」の舞台となった街としても有名です。
映画でキキがほうきに乗って飛び回った、あの美しい街並みと全く同じ世界観がガムラスタンで体験することができます。
ジブリファンならハマること間違いなしと言えるでしょう。
ガムラスタンの歴史

ガムラスタンは中世ヨーロッパ時代の13世紀に、現在のスターズホルメン島に建設されました。
北ゲルマン建築が取り入れられた建築物の多くは、17世紀〜18世紀の時期に建設されたものです。
現在ではスウェーデンの観光名所として多くの人が訪れるガムラスタンですが、実は20世紀半ばまではスラムとして荒れた街並みだったといいます。
第二次世界大戦終結後にスウェーデン議会によって改修工事が行われ、今のように美しい中世の市街地に囲まれた名所となったのです。
また、1800年代〜1980年代までは、先述した「橋の間の都市」を意味する「Staden mellan broarna」が名称となっていました。
ガムラスタンが公式の名称として定められたのが1980年です。ガムラスタンという名前は、比較的新しく登場した街名なのです。
ガムラスタンの名所を一挙に紹介
ガムラスタンの地区一帯には、スウェーデン国王が執務を行うストックホルム宮殿、国会議事堂などスウェーデンにとって歴史的政治的に重要な建造物が集中しています。ここでは、ガムラスタンにあるスポットをまとめました。
ストックホルム大聖堂

1279年に建てられたガムラスタン最古の教会である、ストックホルム大聖堂。
荘厳な佇まいと天辺の大時計が特徴的で、その見た目は「魔女の宅急便」の作中に登場する時計台にも似ていますね。
建築当初はゴシック様式の教会でしたが、のちにバロック様式に改修したとされています。

ストックホルム大聖堂は歴代のスウェーデン王族の戴冠式や、結婚式といった慶事の際に利用されてきました。
1976年には現スウェーデン国王カール16世とシルビア王妃の結婚式が執り行われました。
最近だと、2010年にも王太子、ヴィクトリア女王も同じくストックホルム大聖堂で挙式を行なったといいます。
ストックホルム宮殿

ストックホルム宮殿は13世紀に建築され、現在ではスウェーデン国王カール16世が公務を行う公邸となっている王宮です。
元々ストックホルム宮殿は、歴代スウェーデン王室の居城として使用されていました。
1981年に私邸をスウェーデンのドロットニングホルム宮殿の方に移してからも、スウェーデン王の公式行事などが執り行われる重要な施設となっています。
ストックホルム宮殿内部は一般公開されており、スウェーデン王室ゆかりの展示品や、フランス発祥のロココ様式が採用された優美な礼拝堂を見学することができます。
さらにストックホルム宮殿の中庭では、毎日正午の時間になると、16世紀から続く伝統的な式典である衛兵交代式も行われています。

リッダーホルム教会
リッダーホルム教会は、ガムラスタンから徒歩でも移動できる、隣のリッダーホルメン島にある教会です。
リッダーホルメン島の名前の由来は、スウェーデン語で「騎士の島」を意味しています。
装飾にはネオゴシック様式が採用された、上品な佇まいがガムラスタンの街並みとも見事にマッチしています。
リッダーホルム教会は歴代のスウェーデン王族が眠る、スウェーデン国民にとって大切な施設なのです。
ストールトルゲット広場

ガムラスタン中心部には、カフェやレストラン、マーケットで賑わうストールトルゲット広場という場所があります。
ストールトルゲット広場の周囲にある、絵本の世界から飛び出してきたような、赤色や黄色のカラフルなデザインの建物も魅力的です。
また、ストールトルゲット広場の中には、1772年に創業しギネスブックにも世界最古のレストランとして登録されている、「Den gyldene freden」というレストランもオープンしています。
ノーベル博物館

ストールトルゲット広場にある有名な建物として、ノーベル博物館は外すことはできません。
ノーベル博物館は、歴代ノーベル賞の受賞者や、スウェーデン出身でノーベル賞の創始者であるアルフレッド・ノーベルに関する様々な展示物を見ることができる施設です。
他にもノーベル博物館内には「ビストロ・ノーベル」というレストランがあります。
こちらではノーベル賞のメダルの形をしたチョコレートや、ノーベル賞の晩餐会で提供されて話題となったノーベル・アイスクリームを食べることができますよ。

国会議事堂

スウェーデンの国会議事堂も、ガムラスタンの中にあります。
ガムラスタンに隣接するヘランズホルメン島という場所にあり、スウェーデンにおける政治の中心地となっています。
日本の国会議事堂の建築とはまた違う、曲線美が目立つ半円形の建物となっているのも特徴的です。
モーテン・トローティグ・グレン通り

ガムラスタンは昔ながらの区画がそのまま残っているエリアも多く、迷路のように入り組んだ路地も街の特徴となっています。
その複雑さは、初めて訪れた旅行者なら迷子になることも必至でしょう。
特に有名な路地として、「モーテン・トローティグ・グレン通り」と呼ばれている場所があります。
この路地はガムラスタンでも最も横幅が狭いことで知られており、僅か90cmしかありません。
大きい荷物を運んでいたり、対向者とすれ違う時には難儀しそうですね。
しかしその独特な狭さからガムラスタンの名所の1つとして、多くの観光客が訪れる撮影スポットとなっています。
まとめ
中世ヨーロッパの時代の街並みと雰囲気を感じることができる、ガムラスタン。
ガムラスタンは街の面積としては決して広くはなく、旅行の際も一日あれば十分に名所を巡ることができますよ。