ノルウェーには、氷と雪に覆われた自然の中に佇む独特な宿泊施設、スノーホテルが存在します。
スノーホテルは、煉瓦の代わりに氷を積み重ねて建てられた、極寒の地ならではのユニークなホテルとして知られています。
今回は、美しい雪と氷の空間で宿泊できる、ノルウェーのスノーホテルについて詳しくご紹介します。
ノルウェーの氷のホテル
ノルウェーの位置するキルケネスという街には、雪と氷で造られた珍しいホテルがあります。
その名も「スノーホテル キルケネス(SnowHotel Kirkenes)」で、冬季限定で12月から4月までの期間にオープンしています。
ホテルの名前が示す通り、建物の外壁や内装のほとんどは雪と氷でできています。
使用される氷は、キルケネス地方の湖から切り出した数十トンの氷で作られているといいます。
日本でも、冬の風物詩としてかまくらがありますが、ノルウェーはホテルを作ってしまうなど、そのスケールはさらに大きいと言えます。
極北の町キルケネス
スノーホテルがあるキルケネスは、ノルウェー北部のロシア国境に沿った小さな町です。
この町は、ノルウェーの中でもさらに北に位置し、北極までわずか400kmしか離れていません。
キルケネスの人口は約3,000人で、シーズンが合えば美しいオーロラ観測ができるため、観光業に力を入れています。
また、5月から7月の夏季には、太陽が沈まずに一日中明るい「白夜」と呼ばれる現象が起こりますが、11月から1月にかけては一日中太陽が昇らず、「極夜」となります。
スノーホテルでの過ごし方
キルケネスにあるスノーホテルには、宿泊施設とレストラン、シャワーなどの施設が含まれています。
宿泊施設であるスノーホテルは、ホテル内の気温がマイナス5度に保たれているため、冬季には防寒対策が必要です。
テーブルやベッドなどの家具は、すべて氷で造られています。
椅子も氷製で、お尻が濡れないようにトナカイの毛皮が敷かれています。また、部屋には通常のホテル同様に番号が振られています。
スノーホテルの魅力の一つは、氷の壁に彫刻された芸術作品です。サンタクロースや動物、暖炉など、独創的な彫刻が描かれています。さらに、各部屋のテーマに合わせて作品が異なります。
壁の彫刻だけでなく、スノーホテル内部は青いライトで照らされ、ディズニー映画「アナと雪の女王」に登場する城を思わせる、幻想的な光景が広がります。
不安な点としては、「マイナス5℃の空間で眠れるのか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
睡眠については心配無用です。スノーホテルではマイナス以下の気温にも対応できる、高性能な寝袋が用意されています。寝袋は保温性に優れ、体温が全体に広がることで寝袋の中は十分な温度になると言われています。
滞在に必要な設備も充実
スノーホテルの敷地内には、利用者が快適に過ごせるよう、さまざまな施設が用意されています。
スノーホテル宿泊で最初に訪れるのが、山小屋をイメージした受付です。
受付では宿泊手続きや入館料の支払い、荷物の預かりなど、滞在のサポートをしてくれます。
また、昼間は基本的に建物棟という場所で過ごします。
建物棟の1階には、フィンランド発祥のサウナとシャワールームがあります。ここで観光の疲れを汗と一緒に洗い流しましょう。
2階は中央に暖炉のある木造ドーム型のレストランです。ランチタイムにはココアなどのホットドリンクやランチを楽しめます。
3階は宿泊者同士の交流ができるラウンジフロアです。
また、宿泊施設は先述のスノーホテルのほか、屋外にログキャビンと呼ばれる木造コテージがあります。
スノーホテルが冬季限定であるのに対し、ログキャビンは通年で利用可能です。
さらにログキャビンでは室内暖房や専用バスルームを完備。窓からはノルウェーの大自然も一望できます。
それぞれ独自の魅力があるため、スノーホテルとログキャビンのどちらに宿泊するかは大きな迷いどころです。
ウィンターアクティビティについて
ノルウェーの最北端に位置する町キルケネスは、恵まれた立地条件から高い確率でオーロラを見られます。
キルケネスの空港からスノーホテルまでのシャトルバスが運行されています。シャトルは車ではなく、犬ぞりタクシーです。
絶景を楽しめるオーロラツアーや、雪原を走る犬ぞりなど、日本では決して体験できない北欧ノルウェーならではのアクティビティを楽しめます。
まとめ
スノーホテルは、壁から生活用品に至るまで美しい氷で作られたホテルです。
まるでファンタジーの世界から飛び出してきたような幻想的な建物です。
氷の世界で寝袋にくるまって過ごす体験は、極寒の地ノルウェーでしか味わえない貴重な体験といえます。