スウェーデンのユールゴーデン島という島には、スカンセンと呼ばれる博物館があります。
屋外に様々な施設がある珍しい野外博物館であり、1891年の創業以来多くの人が訪れるテーマパークのような場所なのです。
今回はスカンセンというスポットについて、園内の特徴や設立までの経緯について紹介していきます。
野外博物館であるスカンセンとは?

スカンセンとは、北欧スウェーデンにあるユールゴーデン島、その西側一帯に位置する野外博物館です。
スカンセンは近代化以前のスウェーデンの生活や文化を後世に伝えることを目的に、1891年10月11日に民俗学者であるアルトゥール・ハゼリウスという人物によって創設されました。
野外博物館であるスカンセンは、「野外博物館」という言葉通りあらゆる施設が屋外にあるのが特徴です。

16世紀頃のスウェーデンの伝統家屋や農園、民芸品が展示された博物館から北欧の動物が集まる動物園まで様々な施設が敷地内にあります。
また、スカンセンがあるユールゴーデン島は、自然保護の観点から新しく建物を建てることは禁止されています。
そのため手付かずの自然が残り、スウェーデン市民の憩いの場としても利用されているのです。
スカンセンが創設された背景
スカンセン設立の背景には、19世紀のスウェーデンの急激な工業化に伴う伝統の喪失に対する、ハゼリウスの危機感がありました。
19世紀当時のスウェーデンは工業化により大きく発展し、同時に国内の農民の暮らしぶりも変化していきます。
ただ、生活が便利になる一方で、徐々に近代化の波によってスウェーデンの伝統的な生活様式も失われていきました。
そのため、民俗学者であったハゼリウスは野外博物館という形で、昔のスウェーデンの村々の光景を再現したスカンセンを作ったのです。
スカンセンの名所を一挙にご紹介
スカンセンの敷地内には、16世紀頃に実在した住宅や工房、教会などの建物が立ち並びます。
スウェーデンの伝統と文化を残したいという、ハッセリウスの意思が反映した景観となっています。
ここではスカンセンにある名所をご紹介していきますね。
約160棟のスウェーデンの伝統建築物

スカンセン内には約160棟の建物や農園が広がっています。
敷地内にある建物もレプリカではなく、全て実際に利用されていた本物の物件です。
およそ160棟もの家々は、ハゼリウス自身がスウェーデン中から買い集め、園内に移築したものなのです。
中世ヨーロッパの世界観を感じられる石造りや木造住宅が織りなす光景は、数百年前にタイプスリップしたかのような気持ちにさせてくれます。

また、上記の木造建築は、日本の縄文時代に見られる高床式住居にそっくりですよね。
実はこれはスカンジナヴィアの先住民サーミ族の住居であり、スカンセンにはこのように歴史的価値の高い建築物も数多く置かれているのです。
工房街

スカンセンの一角には19世紀までのスウェーデンの農場や工房が復元されています。
また、パン作りやガラス制作など、園内のスタッフによる実演も見学できますよ。
スカンセン動物園

北欧の動物が集まるスカンセン動物園も人気スポットです。
スカンセン動物園ではスカンジナヴィア諸島に生息する動物や、古来からスウェーデンで家畜として飼われていた牛や豚も見ることができます。
セグローラ教会

セグローラ教会は1729年に建築された木造教会です。
スカンセンには1916年に移設され、現在でも赤子の洗礼式やカップルの結婚式場として使用されています。
まとめ

近代化するスウェーデンにおいて、今なお昔の景観を守り続けるスカンセン。
園内には動物園や水族館もあり、世代を問わず楽しめるテーマパークのようなスポットです。
スウェーデンの国内外から観光客が集まり、2016年には約136万人の来場者が訪れました。
古き良きスウェーデンを体験したい人にはおすすめのスポットと言えるでしょう。
