スウェーデン

【ルッセカット】スウェーデンのサフラン入りパン

ルッセカット
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スウェーデンでは、くるりとS字型に丸まった、黄色い見た目も目を引くルッセカットと呼ばれるパンがあります。

ルッセカットの黄色は、スパイスの中で最高級品と言われるサフランの色素によるもので、サフラン特有のエキゾチックな香りも魅力の1つです。

今回はスウェーデンで愛されるサフラン入りパン、ルッセカットについて詳しく解説していきます。

ルッセカットの特徴

ルッセカット(Lussekatter)は、北欧スウェーデンで食べられている伝統的な菓子パンです。サフランというスパイスが練り込まれた黄色い生地と、独特なS字型が特徴です。

バターやミルクも入っており、ほのかな甘味とサフランの豊かな香りもあり、非常に食べやすい味わいとなっています。

また、ルッセカットには、表面にレーズンを飾ることや、グラニュー糖を振りかけることで、より華やかさを演出することができます。

ルッセカットはS字型の他に、星型や円形、動物の形など、多様な形状が存在します。

スウェーデンでは、ルッセカットは朝食やランチ、おやつの時間まで、幅広いシーンで食べられています。

最も高価なスパイスとして知られるサフラン

ルッセカットの代表的な特徴である黄色いパン生地を生み出しているのは、サフランというスパイスです。

サフランは地中海原産で、秋に開花するアヤメ科の植物です。

スパイスとしては、開花したサフランの花にある3分裂した雄しべが使用されます。

サフランは赤褐色の細い糸状の形状をしており、日本のスーパーでも販売されています。

インドカレーやスペイン料理のパエリアなど、実は私たちが普段食べている料理にもサフランは使われているんですよ。

例えば、黄色いサフランライスが代表的です。これは、サフランが含む水溶性の色素であるクロシンが、水に溶けて黄金色の色素を発するためです。お米と一緒に炊くことで、黄色く着色することができます。

料理に加えて、サフランは世界中で染料としても利用されてきた歴史があります。

スウェーデンにサフランが伝わったのは、19世紀頃と言われています。

そしてサフランは、その黄色い色素以外にも特徴があります。それは、スパイスの中で最も高価な品というものです。

1つのサフランの花からスパイスとして利用できる雄しべは、わずか3本しかありません。たとえば10gのサフランを得るためには、1500本以上のサフランの花が必要になります。

また、雄しべを摘む際は、傷つけないように非常に繊細な作業が必要で、1つ1つの収穫は全て手作業で行われます。

このような手間や希少性から、サフランはスパイスの中でも最高級品として扱われているのです。

スウェーデンのクリスマスに欠かせないパン

ルッセカットは一年を通してスウェーデンで親しまれています。中でも、クリスマスシーズンには多くのパン屋でルッセカットが登場し、街中がエキゾチックなサフランの香りに包まれるほどなのだとか。

実はスウェーデンでは、12月13日の冬至の季節に「聖ルシア祭」というお祭りが開催されます。

そしてルッセカットは聖ルシア祭に振る舞われるパンとして知られ、この聖ルシア祭の時期になるとパン屋にたくさんのルッセカットが並ぶようになります。

ルッセカットの黄色は太陽を象徴しているとも言われており、北欧の冬の中で暮らす人々にとって、太陽への切望が表れたパンという側面も持ちます。

そのためクリスマスになると、ルッセカットを求めて多くの人がパン屋に足を運ぶのが通例となっています。さらにスウェーデンの家庭では、お手製のルッセカットをオーブンで焼くことも珍しくないのだそうです。

「ルシアの猫」という意味のルッセカット

ルッセカットという名称は、スウェーデン語で「ルシアの猫」という、少し変わった意味で呼ばれています。

なぜルッセカットが「ルシアの猫」という名前なのかというと、その由来には様々な説があります。

例えば、可愛らしいデザインが猫の尻尾を連想させるからというものや、古来北欧には冬に現れる悪霊を追い払うために、猫などの動物を生贄として捧げていた名残という怖い説もあります。

しかし、最も有力な説としては、キリスト教の聖人である「聖ルシア」という人物が配るパンがルッセカットの由来ではないかとされています。

古くからヨーロッパのドイツでは悪魔と猫は深い結びつきがあり、悪魔が配っていたパンのことを「悪魔の猫」と呼んでいました。

その伝承が北欧スウェーデンにも伝わったことで、聖ルシアが配るパンを「ルシアの猫」というようにスウェーデンで広まったと言われています。

スウェーデンの聖ルシア祭とは?

スウェーデンでは、クリスマス前の12月13日に「聖ルシア祭」というイベントが開催されます。

聖ルシア祭は、北欧の冬至にあたる1年で最も長い夜に、光の聖女ルシアに祈りを捧げ、来年の温かな春の訪れを願うお祭りです。

ルシアはキリスト教の聖人であり、スウェーデンでは冬の暗闇を照らす光をもたらす守護聖人として崇拝されています。

また、聖ルシア祭の代表的な催しとしてルシア行列があります。ルシア行列とは、ルシア役に選ばれた少女が先頭に立ち、子どもたちが「サンタ・ルシア」の歌を歌いながら、スウェーデンの教会や街中を行進するイベントです。

ルシア役の少女は白い衣装とキャンドルを付けた冠を身につけ、星使いに扮した少年とルシアの付き人役の少女が後ろに続きます。

最後にはスウェーデンの寒空の下を頑張って歩いた少年少女たちに、ご褒美として温かいルッセカットが振る舞われるのが恒例です。

まとめ

サフランの鮮やかな黄色と芳香、そして北欧の冬の体を温めてくれるルッセカットは、北欧スウェーデンのクリスマスシーズンには欠かせないパンです。

レシピも難しくないため、自宅でもサフランなど材料を用意すれば作ることができます。

淹れたてのコーヒーと一緒に朝食としてルッセカットを楽しむのは、まさに至福のひとときと言えるでしょう。