【スウェーデン語文法#30】過去完了形(hade + 完了分詞)

スウェーデン語の「過去完了形」は、ある過去の出来事よりも前にすでに起こっていたことを伝えるときに使う時制です。
たとえば、「映画が始まる前にチケットを買っていました」のように、2つ以上の過去の出来事があったとき、それらの順序を明確に表現するために用いられます。
スウェーデン語ではこの形を、助動詞 hade(〜だった)と、動詞の完了分詞を組み合わせて作ります。
このレッスンでは、スウェーデン語の過去完了形の基本構造、使い方、注意点を解説していきます。
1. 過去完了形の構造:hade + 完了分詞
スウェーデン語の過去完了形は、以下のように構成されます:
【過去完了形】助動詞 hade + 完了分詞
hade は「持つ」を意味する動詞 ha の過去形となります。
スウェーデン語では全ての主語に対して 助動詞 hade を用いるため、主語の人称によって動詞の形が変わることはありません。
- Jag hade ätit.
(私はすでに食べていた) - Hon hade gått hem.
(彼女は家に帰ってしまっていた) - Vi hade läst boken innan filmen började.
(映画が始まる前に、その本を読んでいた)
このように過去完了形を使うことで、2つ以上の過去の出来事の時間的な前後関係を明確に伝えることができます。
2. 完了分詞の作り方
スウェーデン語の完了分詞は、現在完了形や過去完了形で使われる動詞の語形です。基本的に「語幹 + -t」で作りますが、不規則形も多くあります。
規則動詞の完了分詞
規則動詞は、語幹に語尾(-t/-tt)を加えることで完了分詞を作ります。
動詞の原形 | 意味 | 完了分詞 | 作り方 |
---|---|---|---|
tala | 話す | talat | 語幹 tala + -t |
köpa | 買う | köpt | 語幹 köp + -t |
bo | 住む | bott | 語幹 bo + -tt |
このように、語幹によって変化の仕方が異なるため、基本的なパターンを覚えておくと便利です。
不規則動詞の完了分詞
頻出動詞には不規則変化をする動詞も少なくありません。以下はその代表的な例です
原形 | 意味 | 完了分詞 |
---|---|---|
gå | 行く | gått |
se | 見る | sett |
göra | する | gjort |
komma | 来る | kommit |
dricka | 飲む | druckit |
不規則動詞は一覧表などで確認し、繰り返し練習して覚えるのが基本です。
3. 過去完了形が使われる主な場面
スウェーデン語の過去完了形は、次のようなシーンで使われます。
3-1. 過去のある時点より前に完了していたこと
文の中で「〜したとき」「〜の前に」を表す場合、過去完了形を使用します。
- När vi kom till stationen, hade tåget redan gått.
(私たちが駅に着いたとき、列車はすでに出発していました) - Hon hade redan stängt av datorn när jag ringde.
(私が電話したときには、彼女はすでにパソコンを消していました)
これらの文では、基準となる出来事(着いた/電話した)よりも前に完了した出来事を過去完了形で表しています。
3-2. 過去のある時点までに経験していたこと
経験を語る際も、話し手が思い出として「(過去のある時点)までに〜したことがある」と言いたいときに過去完了形が使われます。
- Jag hade aldrig sett snö innan jag flyttade till Sverige.
(スウェーデンに引っ越す前、私は雪を一度も見たことがありませんでした) - Han hade bott i Paris i fem år innan han flyttade till Tokyo.
(彼は東京に引っ越す前、5年間パリに住んでいました)
このような場合、「過去の出来事に先立つ経験」を表現できます。
4. 現在完了形との違い
スウェーデン語には現在完了形(har + 完了分詞)もあります。現在完了形は、今に何らかの影響を与えている過去の出来事を示すときに使います。
一方で、過去完了形は、過去のある時点よりも前の状態や出来事を表します。
時制 | 形 | 例文 | 訳 |
---|---|---|---|
現在完了 | har gått | Jag har gått hem. | 私は帰宅した(今も帰宅済みの状態) |
過去完了 | hade gått | Jag hade gått hem. | (過去のある時点で)すでに帰っていた |
つまり、過去完了形は、過去形や現在完了形では表現しきれない「時系列」を明確にするための文法です。
物語や説明文、報告文など、出来事の順序をはっきり伝える際は過去完了形が使われます。
5. まとめ
- スウェーデン語の過去完了形は、「hade + 完了分詞」で作ります。
- 過去の出来事よりも前にすでに起こっていたことを表すときに使われます。
- 文法的な構造はシンプルですが、文脈の理解と動詞の完了分詞の知識が重要です。
- 現在完了形と混同せず、「どの時点が基準なのか」を考えることが、正しく使い分けるカギです。