【スウェーデン語文法#26】過去形の基本

スウェーデン語では、過去の出来事や状態を表すときに「過去形」という形を使います。これは英語の過去形(worked / lived / studiedなど) にあたります。
スウェーデン語の動詞は、語形変化によって規則変化と不規則変化に分かれており、それぞれのパターンを覚えることが大切です。
このレッスンでは、過去形の形や使い方、語順のルール、そして不規則動詞のポイントまで、順を追って詳しく解説します。
1. 過去形の基本ルール
スウェーデン語の過去形は、「〜した」「〜だった」など、すでに完了した過去の行為や状態を表すときに使います。
具体的には、以下のような場面で過去形を使います。
- 昨日や先週など、明確に過去とわかる出来事を話すとき
例:Jag reste till Danmark förra året.
(私は去年デンマークに旅行しました) - 状況や状態が過去のある時点に限られているとき
例:Han bodde i Göteborg i fem år.
(彼は5年間イェーテボリに住んでいました) - 過去の習慣的な行動を語るとき
例:När jag var barn, spelade jag piano.
(子どもの頃、ピアノを弾いていました)
このように、「いつ」の出来事かが比較的はっきりしている場面で過去形を使います。
「現在とは区切られた過去」である点が重要で、今後解説する現在完了形(har + 完了分詞)との区別になります。
2. 過去形の作り方
スウェーデン語の動詞は、原則として4つの活用グループ(第1〜第4活用)に分類され、それぞれのグループに応じて過去形の作り方が異なります。
2-1. 4つの動詞活用グループ
活用グループ | 活用の特徴 | 動詞の例 | 意味 |
---|---|---|---|
第1活用 | 過去形が -de | arbeta → arbetade | 働く |
第2活用 | 過去形が -de / -te | köra → körde | 運転する |
第3活用 | 過去形が -dde | bo → bodde | 住む |
第4活用 | 不規則変化 | skriva → skrev | 書く |
以下、それぞれのグループについて詳しく解説します。
2-2. 第1活用:過去形が -de となる動詞
最も基本的で数も多い活用グループです。原形(不定形)が -a で終わり、過去形は語尾に -de をつけます。第一変化の場合、原形がそのまま語幹になります。
時制 | 形 | 例文 |
---|---|---|
原形 | arbeta | Jag vill arbeta i Japan.(私は日本で働きたい) |
過去形 | arbetade | Jag arbetade igår.(私は昨日働きました) |
第1活用は変化が規則的で、初学者にとって覚えやすいグループです。
2-3. 第2活用:過去形が -de / -te となる動詞
語幹が子音で終わる動詞がこのグループに多く含まれます。
語幹の最後の子音によって、過去形が -de になるか -te になるかが決まります。
-de になる動詞:語幹が「有声音」(b, d, g など)で終わる
時制 | 形 | 例文 |
---|---|---|
不定形 | ringa | Jag vill ringa dig.(君に電話したい) |
過去形 | ringde | Jag ringde henne.(私は彼女に電話しました) |
-te になる動詞:語幹が「無声音」(p, t, k, s など)で終わる
時制 | 形 | 例文 |
---|---|---|
不定形 | köpa | Vi vill köpa en bil.(私たちは車を買いたい) |
過去形 | köpte | Vi köpte en ny bil.(私たちは新しい車を買いました) |
2-4. 第3活用:過去形が -dde となる動詞
不定形が -a 以外の母音で終わる動詞がこのグループに分類されます。
第3活用の動詞も、不定形がそのまま語幹となります。過去形は-dde を付けます。
時制 | 形 | 例文 |
---|---|---|
不定形 | bo | Jag vill bo i Stockholm.(ストックホルムに住みたい) |
過去形 | bodde | Jag bodde där förut.(以前そこに住んでいました) |
第3活用グループは数は少ないですが、よく使う動詞が含まれます。
2-5. 第4活用:不規則動詞
最も変化の大きいグループです。語幹そのものが変化するものや、過去形が全く異なる形になる動詞が含まれます。
不定形 | 過去形 | 意味 | 例文 |
---|---|---|---|
vara | var | ~である | Jag var trött.(私は疲れていました) |
ha | hade | 持っていた | Hon hade mycket pengar.(彼女はたくさんお金を持っていた) |
gå | gick | 行く | Vi gick hem.(私たちは帰宅しました) |
få | fick | もらう | Jag fick ett brev.(私は手紙を受け取りました) |
3. 語順と文の作り方(肯定・否定・疑問)
3-1. 肯定文の語順(基本語順)
過去形の基本語順は英語と同じSVO(主語+動詞+目的語)です。
- Jag läste en bok.(私は本を読みました)
- Hon köpte en tröja.(彼女はセーターを買いました)
3-2. 否定文の語順
否定を表すときは、過去形の動詞の直後に inte(〜ない) を置きます。
- Jag arbetade inte igår.(私は昨日働きませんでした)
- Vi köpte inte bilen.(私たちはその車を買いませんでした)
3-3. 疑問文の語順
動詞を主語より先に出すことで、Yes/Noの疑問文になります。
- Arbetade du igår?(あなたは昨日働きましたか?)
- Gick han till skolan?(彼は学校に行きましたか?)
このように疑問文や否定文でも、過去形の動詞の形は変わりません。語順だけが変化する点に注意しましょう。
4. まとめ
- スウェーデン語の過去形は、4つの活用グループ(第1〜第4活用)に分類され、それぞれ異なるルールで変化します。
- 第1活用は最も基本で、語幹に「-de」を付けます。
- 第2活用は語幹の子音によって「-de」または「-te」に変化します。
- 第3活用は母音語幹で「-dde」に変化。
- 第4活用は不規則動詞で、形が大きく変わります。
- 否定文・疑問文も、活用形はそのまま、語順や inte に注意して使いましょう。