【初級文法⑤】スウェーデン語の複数形:基本ルールと語尾変化

スウェーデン語の名詞には、英語同様に「単数形」と「複数形」があります。
ただし英語と違い、複数形の作り方は名詞の語尾や性(共性・中性)によって異なるのが特徴です。
このレッスンでは、スウェーデン語の名詞を複数形にするルールを解説し、語尾変化の基本パターン、不規則変化、そして初学者が混乱しやすいポイントを整理します。
1. 名詞の性と複数形の関係
スウェーデン語の名詞には、「単数形」と「複数形」があります。
英語と同様に、「物が一つだけあるのか」「複数あるのか」を区別する必要がありますが、スウェーデン語の複数形は英語よりも少し複雑です。
というのも、英語では通常 -s をつけるだけですが、スウェーデン語では名詞の性(共性 / 中性)や語尾によって、複数形の作り方が変わるからです。
まず、おさらいとして、スウェーデン語の名詞には2つの「性」があります。
- 共性名詞(en名詞):名詞の前に「en」がつく。
- 中性名詞(ett名詞):名詞の前に「ett」がつく。
そして名詞の共性/中性の区別は、複数形の語尾にも影響を与えます。
- en flicka(女の子) → flickor(女の子たち)
- ett äpple(りんご) → äpplen(複数のりんご)
今後、名詞を覚えるときは必ず「en / ett」や「複数形の形」も一緒に覚える習慣をつけることが大切です。
2. 複数形の基本パターン
スウェーデン語には、以下の5つの代表的な複数形パターンがあります。
- -or 型:語尾が -a で終わる共性名詞 → -or
- -ar 型:語尾が -e、または子音で終わる共性名詞) → -ar
- -er 型:不規則変化を含む共性名詞 → -er
- -n 型:語尾が母音で終わる中性名詞 → -n
- 無変化型:語尾が子音で終わる中性名詞 → 形はそのまま
これらに加えて、不規則な名詞や例外的な語も存在します。
3. 語尾パターンごとの詳しい解説
-or 型:共性名詞(語尾が -a)
このパターンは、語尾が「-a」で終わる共性名詞に適用されます。複数形は「-or」に変化します。
- en flicka(女の子)→ flickor(女の子たち)
- en klocka(時計)→ klockor(時計たち)
- en pojka(少女)→ pojkor(少女たち)
このパターンでは、単語の語幹は変わりません。語尾は単純に 「-a」 → 「-or」 に変化します。
-ar 型:共性名詞(語尾が -e または子音)
語尾が -e で終わる語、あるいは特定の子音で終わる語は、複数形が「-ar」になります。
- en pojke(男の子)→ pojkar(男の子たち)
- en stol(椅子)→ stolar(椅子たち)
- en bil(車)→ bilar(車たち)
-er 型:共性名詞で不規則な変化を含む
このタイプはやや複雑で、語幹に母音変化(o → ö, a → ä)が起きることがあります。また、古い語やよく使われる語に多い傾向があります。
- en bok(本)→ böcker(本たち)※[o → ö] + -er
- en stad(町)→ städer(町たち)※[a → ä] + -er
- en hand(手)→ händer(手たち)
このパターンは暗記が必要ですが、頻出語に多いので、実用性は高いです。
-n 型:中性名詞(語尾が母音)
中性名詞のうち、語尾が母音で終わるものは複数形に「-n」がつきます。
- ett äpple(りんご)→ äpplen(りんごたち)
- ett hjärta(心)→ hjärtan(心たち)
このタイプは比較的規則的なので、語尾が母音で終わる中性名詞を見かけたら「-n」にする、という習慣をつけましょう。
無変化型:中性名詞(語尾が子音)
語尾が子音で終わる中性名詞は無変化で、複数形になっても形がまったく変わりません。
- ett hus(家)→ hus(家たち)
- ett bord(テーブル)→ bord(テーブルたち)
- ett brev(手紙)→ brev(手紙たち)
文中では、文脈や冠詞(定冠詞 / 不定冠詞)によって単数か複数かを判断します。
4. 不規則名詞と注意すべき変化
スウェーデン語には、上記の語尾パターンに当てはまらない名詞も存在します。
- en man(男性)→ män(男性たち)
- en mus(ネズミ)→ möss(ネズミたち)
- en gås(ガチョウ)→ gäss(ガチョウたち)
こうした不規則変化は、辞書で複数形を確認しながら覚えていく必要があります。
まとめ
- スウェーデン語の名詞は「共性」「中性」に分かれ、複数形の作り方も異なります。
- 複数形には主に5つのパターン(-or, -ar, -er, -n, 無変化)があり、語尾や名詞の性によって使い分けられます。
- 一部の名詞は不規則に変化するため、例外として覚える必要があります。
- 名詞を覚えるときは、「性(en / ett)」と「複数形の形」も一緒に覚えるのが効果的です。